仕事と私生活を「別人格」で生きる...SFドラマ『セヴェランス』とは? 多くの批評家が「年間ベスト作品」に
How the Other Half Live
そんなアークエットも、コベル役は「とても難しく」て、俳優人生で最も難しい役の1つだと22年に語っている。
だがコベルになり切る時間が長くなり、コベルのキャラクターが進化するにつれて、考えが変わってきたようだ。1人の視聴者として『セヴェランス』の熱狂的ファンであることも、苦手意識が低下した大きな理由だと、アークエットは語る。
「自分とは関係のないシーンでもセットに行ってしまうほど、このドラマ作りに興奮している。ものすごく手が込んでいて独創的だから」
1960年代をイメージしたオフィスから衣装まで、『セヴェランス』の独特の舞台作りは、アークエットがコベルの役柄に「深くのめり込む」のに役立っているという。スタッフの細部へのこだわりが、彼女の演技や理解、メンタリティーに影響しているというのだ。
葛藤と自己欺瞞と渇望と
物語は毎週1話ずつ公開されるから、今シーズンのコベルの行く末はまだ分からない。ただ、このドラマ全体と同じように、コベルのキャラクターも現実世界を思わせるものになりそうだ。
コベルの日常は大きく揺さぶられ、自分という人間を見つめ直すようになると、アークエットは分析する。さらに、そうしたことは現実の世界でも起こり得ると語る。「誰もが人生のどこかでこういう経験をすると思う。自己欺瞞や他人の欺瞞に加担してきたことに気付く時が来る」
「この種の葛藤と自己欺瞞の根底には、愛され、評価されたいという渇望があると思う」と、アークエットは語る。