【インタビュー】LL・クール・J、11年ぶりの新作に込めた「ヒップホップへの愛」
Still Doin’ It Well
LL・クール・J CHRIS PARSONS
<16歳でデビューしてストリート文化を、世界レベルに育て上げたレジェンドが、11年ぶりのアルバムに込めた思い>
LL・クール・J(56)がヒップホップにどれだけ貢献してきたかを知りたければ、彼がQティップと交わした会話に耳を澄ますといい。
Qティップはア・トライブ・コールド・クエストのメンバー。トライブは1990年代、ジャズをサンプリングした独創的な作風で名をはせた。カニエ・ウェストやファレル・ウィリアムスらスーパースターの先駆けとされる伝説のグループだから、ミレニアル以降の世代にとってQティップはヒップホップのパイオニアにほかならない。
だがLLに新作『THE FORCE(ザ・フォース)』でのコラボレーションを持ちかけられた瞬間、大御所Qティップの地位は揺らいだ。
「Qティップに電話したら、彼は最初の呼び出し音で出た。『どうしました、兄貴!?』ってね」。LLはオンライン取材でうれしそうに振り返る。
「兄貴」は平凡な呼びかけに聞こえるかもしれないが、崇拝の念がこもっている。後進にとってLLはまさに兄貴分。だが彼が「兄貴」と尊敬できるラッパーは、片手で数えられるほどしかいない。
草分けの1人として一から築いたヒップホップ文化に今も貢献できることを新アルバムを通じて証明したいと、LLは考えている。
「俺は8歳でラップに目覚め、11歳か12歳でリリックを書き始めた。ヒップホップが生まれたその日から、現場にいた。ずっと文化の一部だった」