米で興収振るわず、ネットで「いよいよ死に時か」...『エクスペンダブルズ ニューブラッド』老優たちの熱演が最高
Twilight of the ’80s Action Gods
主役のバーニーを演じるスタローン EX4 PRODUCTIONS, INC 2022
<シルベスター・スタローン、ジェイソン・ステイサムら往年のスターが顔を並べる人気シリーズ第4作に見るヒーロー映画のたそがれ>
超アクション映画『エクスペンダブルズ』シリーズの第4弾がアメリカで公開されたとき、劇場のロビーには巨大なポスターが貼ってあり、そこには「死に時は死んだ時」と大書されていた。禅問答みたいだが、「消耗品軍団(エクスペンダブルズ)」にふさわしい標語でもあった。
実際、2010年に始まったこのシリーズではバーニー・ロス(シルベスター・スタローン)率いる筋骨隆々の傭兵集団が、いつ死んでもおかしくない危機を次々と、大したケガも髪が乱れることもなく乗り越えて生き延び、「死に時」を先送りしてきた。
しかも、そうすることで高齢化著しいアクションスターたちに新たな活躍(と殴り合いと過激なスタント)の機会を提供してきた。
オリジナルの『エクスペンダブルズ』には、スタローンに加えてジェイソン・ステイサム、ジェット・リー、ドルフ・ラングレン、ミッキー・ローク、ブルース・ウィリス、エリック・ロバーツ、さらにはアーノルド・シュワルツェネッガーなどが出演していた。筆者の計算が正しければ、高齢軍団11人の年齢は合計で616歳だった。
正義はアメリカにあり
このシリーズ、そもそものコンセプトは悪くなかった。1980年代にこんなアクション映画が大当たりしたのは事実だし、それを懐かしく思い出すファンも、当時はまだたくさんいた。
だから2010年の第1作と2012年の第2作は、そこそこの興行収入を上げた。評論家には受けなかったが、それでよかった。コミック本にも、ビデオゲームにもなった。
しかし2014年の第3作で失速した。そして第4作の実現には9年もかかった。しかも全米公開(2023年9月)後最初の週末の興行収入はたったの800万ドル。ネット上では、いよいよ「死に時」かという臆測が飛び交ったものだ。
実際、今度の『エクスペンダブルズ ニューブラッド』(スコット・ウォー監督)は最終作にふさわしい。このシリーズの定石が見事に凝縮されているからだ。
まず、幕開けは北アフリカとおぼしき人里離れた場所にある怪しげな施設の空撮シーン。次の瞬間にはもう、「消耗品軍団」の面々がパラシュートで飛び出していく。今回の任務は、オセロットなる謎の人物率いる武装集団が核弾頭を盗み出すのを阻止すること。ちなみにオセロットは、なぜか第3次大戦を起こして巨万の富を手にしようともくろんでいる。