元ジャニーズJr.の橋田康「問題と向き合う、事務所の決断を応援したい」
──身の危険を考えることもあった?
ありました。「お前、もう芸能界でやれないね」とか 「命危ないんじゃない?」といった連絡はいっぱい来ました。僕だけじゃなく、関心を持った人たちもいろいろな想像をしたと思うし、昔の芸能界だったら実際に(身の危険にかかわることが)あったかもしれない。ジャニーズ事務所はやっぱり巨大過ぎて、力を持ちすぎていて、そういう噂が独り歩きしてしまうのは仕方ないことかなと思う。
──記者会見で東山紀之さんや井ノ原快彦さんは、「SNSなどで被害に遭われた方々への誹謗中傷はやめてください」と繰り返している。橋田さんも傷付いたと思うが、心の部分は大丈夫だったか。
大丈夫じゃないですよ。X(旧ツイッター)やインスタなどで、誹謗中傷は今でも来る。ジャニーズを擁護しているとか、被害者のわがままだとか、いろんなことを言われる。ジャニーズを応援したい人たち、ジャニーズを潰したい人たち、性暴力の被害者の人たち、社会をよくしたいと思っている人たちも含めて、いろんな方向から誹謗中傷が来るんです。
それはほかの被害者の方々にも来ているだろうし、事務所にいるタレントさんたちへの誹謗中傷もまだまだあると思う。本当にさまざまな意見があるだろうが、繊細な問題であるし、誰かを傷付けないように配慮してほしい。
──9月半ばに設けられた被害者救済委員会の窓口には478人の申し出があり、うち325人が補償を求めている。この被害者の数には驚いた?
驚きました。先日の記者会見で、11月から補償をスタートすると発表されたが、補償受付窓口の申し込みフォームはそれ以前にできた。今の時点では、安全もプライバシーの守られ方も分からない、「ここに書き込んで本当に大丈夫?」という状態だが、それでも既に478 人が申し出ている。
「対応してもらい、救われました。これで前を向いて生きていけます」という人が1人、2人出てきて状況が整えば、「俺は心に留めておきたかったが、少しでも救われるなら」と、被害申告する人は必ず出てくる。そこで数はぐっと増えるだろう。今の人数がこれだったら、何千人になるんだろうと思う。
──受付フォームではいろいろな個人情報を書かなければならない。その情報が誰に渡るのか、事務所の誰が見るのか分からないのはかなりのプレッシャーではないか。
ある程度の個人情報は必要だが、それがどういう経路で誰が見て、どう守られるという具体的な部分が、記者会見では全く説明されなかった。「心のケア相談窓口」の対応もずさんだと報道されていたが、それと何が違うのか分からないので僕もまだ入力していない。
これで救済に当たっていくのであれば、例えば僕が実験台になるなど、「対応はこうでした、ああでした」と具体的に言える人間がいないと、安心に繋がらないと思っている。