カニエ・ウェスト、数々の暴言や奇行を振り返る...それでも「キャンセル」されない理由とは?
Canceling Kanye West
ウェストは00年代に入ってラッパーとして称賛を集めるも、間もなく問題行動の代名詞となった。05年にはハリケーン・カトリーナの被害者救済イベントで、「(ジョージ・W・ブッシュ大統領は)黒人のことなど気にかけちゃいない」と述べて物議を醸した。
09年にはMTVビデオ・ミュージック・アワーズで最優秀女性アーティストビデオ賞に輝いたテイラー・スウィフトのスピーチに乱入。マイクを奪い、ビヨンセが受賞すべきだったと暴言を吐いた。16年にはシングル「フェイマス」のミュージックビデオに、スウィフト似の人形とベッドにいる場面を盛り込んだ。
自分のルーツである黒人社会も標的にし、18年に「奴隷制は(黒人の)選択だったように思える」と発言。BLM(ブラック・ライブズ・マター=黒人の命は大事)運動に火を付けたジョージ・フロイド殺害事件について、フロイドは警官に殺されたのではなく薬物の過剰摂取で死亡したと口にしたこともある。
21年にリリースした10枚目のスタジオアルバム『ドンダ』では、性暴力で告発されたマリリン・マンソン、同性愛者への差別発言を批判されたダベイビーと共演。ポッドキャスト「ドリンク・チャンプス」で、「俺たちをキャンセルすることはできない」と豪語した。
昨年10月には「白人の命は大事」のスローガンをあしらったTシャツを着てイージーのファッションショーに登場し、世間を騒がせた。名誉毀損防止連盟(ADL)はこのスローガンを、白人至上主義団体が使う「ヘイトスピーチ」に指定している。
騒ぎはさらに過熱した。ウェストは反ユダヤ主義的な発言を連発し、アドルフ・ヒトラーが好きだと言い放った。陰謀論者アレックス・ジョーンズのポッドキャストに出演した際には、「ナチスはいいこともした」と述べた。
メンタルヘルスに不安も
パートナー企業も我慢の限界に達したようだ。既に見限っていたGAPのほか、アディダスとバレンシアガが契約を打ち切り、取引銀行のJPモルガン・チェースも関係を解消した。
ツイッター(当時)も昨年10月にウェストのアカウントを凍結。同社を買収したイーロン・マスクが凍結を解除したが、反ユダヤ発言を受けて再び凍結した(現在は解除されている)。