「老い」を感じる21年目の『バチェラー』...何年たっても「本物の愛」が見つからない、リアリティー番組「先駆者の宿命」とは?
The Wrong Place to Find Love
シーズン27の主役を務めたザック・シャルクロスと30人の女性 CRAIG SJODIN/ABC
<出演者の質の低下、長続きしないカップル...。視聴率の低下や類似番組の競合など、人気リアリティ番組が直面する厳しい状況について>
『バチェラー』といえば、独身男が花嫁をテレビで公開選抜するという奇抜なアイデアで全米を沸かせたリアリティー番組。誕生から21年、男女の立ち位置を入れ替えた姉妹番組『バチェロレッテ』ともども、長きにわたりアメリカの視聴者を楽しませてきたが、さすがに昔日の勢いはない。
人間の21歳はまだ青二才だが、テレビ番組としてはもう寿命が来たのかもしれない。視聴率は下がり続け、出演者にまつわるトラブルも散見され、いわゆる「ネタ切れ」感も指摘されている。
そもそも『バチェラー』放送開始の2002年3月25日と現在では、メディア環境が天と地ほども変わっている。あの頃はまだリアリティー番組というスタイル自体が目新しかった。ネット経由の映像配信(ストリーミング)は、生まれてもいなかった。
だから最初の5シーズンは絶好調で、平均視聴者数は1000万人を軽々と超えていて、シーズン2の最終話では2590万人という記録を達成した。でも、それがピーク。時とともに視聴率は下がり、直近のシーズン27(今年1~3月)の平均視聴者数は約290万人だったという。
それでも視聴者にかつてないほどの選択肢がある今日のメディア環境からすれば、290万という視聴者数は成功の部類に入る。だからABCは既にシーズン28の制作を決めている(妹分の『バチェロレッテ』も苦戦続きだが、今も200万前後の視聴者数を維持している)。
この20年で何百人もの独身者が『バチェラー』と『バチェロレッテ』の世界を出入りしてきたが、誰もが無傷で卒業できたわけではない。たいていの人は、とっくに忘れられている。
つかの間の名声を利用して、それなりのセレブになった人もいる。ただし、セレブになってから『バチェラー』のブランドに泥を塗った人もいる。
17年に出演したデマリオ・ジャクソンは、同じ年にスピンオフ番組『バチェラー・イン・パラダイス』にも出たが、参加した女性の1人に性的暴行を働いた容疑で第三者から告発された(被害者自身は泥酔していて、何も覚えていなかったとされる)。
結果として当事者2人は番組から降ろされ、出演する男女間の飲酒に関する新たなルールが設けられた。