「ジャニーズ神話」が死んだ日...潮目が変わった「公然の秘密」性加害タブー
THE END OF THE MYTH
5月14日、喜多川の姪でジャニーズ事務所の現社長である藤島ジュリー景子が1分間のビデオメッセージをネット上で公開し、「深く」謝罪した。だが多くの人は、この謝罪は不誠実であり、被害者をばかにしているとさえ感じた。
藤島は質問に答える形での文書も発表。その中で喜多川の行為を知らなかったと主張し、「当事者」であるジャニー喜多川に今となっては事実関係を確認することはできないと述べた。
さらに、「個別の告発内容について事実と認める、認めないと一言で言い切ることは容易でない」と付け加え、被害者の証言の事実認定は避けた。
だが橋田に言わせれば、藤島が「知らなかったはずはない」。本誌も藤島に取材を申し込んだが、「マスコミからインタビューなど含む取材や記者会見のご依頼は、国内外問わず一切、全て辞退させていただいております」との回答だった。
ビルボード誌のシュワルツも、藤島の回答を批判する1人だ。
「要するに彼女は、もうジャニー喜多川とは話ができないから事実関係は確認できないと言っている。つまり、会社としては彼がやったことを絶対に認めないということだ」
ファンたちの複雑な心境
とんでもない話だが、大方の予想では、こうした事務所の対応はおそらく成功する。
作家で日本のポップカルチャーの専門家であるマーク・シリングは、「ジャニーズのブランドには汚点が付いたが、それが個々のタレントの活動にどう影響するかは分からない」と言う。
「あるタレントがジャニーズの一員だという理由でコンサートの開催を中止すると決めれば、結果としてタレントを罰することになる。ファンたちは、きっとそう考えてしまう」
シリングの見立てでは、ジャニーズ事務所が望むのはこのスキャンダルが早く忘れられ、第三者による調査も回避することだ。
「自民党から大企業に至るまで、日本の社会で権力を握っている組織はどこも同じだが」とシリングは言う。
「ジャニーズもきっとこの危機を乗り切れる。原子炉のメルトダウンで東京を含む国土の3分の1が避難対象になりかねない事態を招いた東京電力でさえ、今も堂々と事業を続けている。ならばジャニーズ事務所も今度の危機を乗り切れる」
しかし、ジャニーズのファンはどうだろうか。FCCJでのオカモトの記者会見以来、多くの人が実に不愉快な真実に直面せざるを得なくなっている。
自分たちが愛し、共に育った家族みたいな会社は、もしかして根底から腐っていたのか?