「アジア系の描かれ方は変わった」...『エブエブ』俳優がドラマ『アメリカン・ボーン・チャイニーズ』に尻込みした理由
“It’s My New Best Friend”
アカデミー助演男優賞のオスカー像は「私の新しいベストフレンド」 JARED SISKIN/GETTY IMAGES FOR KARL LAGERFELD
<アジア系アメリカ人の平凡な高校生が『西遊記』の人物と巡り合って人生が大きく変わる物語。90年代と異なるのは、アジア系の描き方>
この春、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』でアカデミー助演男優賞を受賞したばかりのキー・ホイ・クァンの新作が早くも公開。
ドラマ『アメリカン・ボーン・チャイニーズ──僕らの西遊記』の配信が、ディズニープラスで5月24日から始まった。このドラマは、ジーン・ルエン・ヤンの同名のグラフィックノベル(邦訳・花伝社)を映像化したもの。
アジア系アメリカ人の平凡な高校生ジン・ワンが『西遊記』の世界の人物と巡り合ったことで人生が大きく変わり......という奇想天外な物語だ。一連の経験を通じてワンが「自らのアイデンティティーを見いだそうとする」過程が描かれる。
クァンが演じるフレディ・ウォンは、1990年代のメロドラマで一世を風靡した架空のアジア系俳優。フレディがかつて演じたのは、アジア系に対する固定観念を痛々しいくらい誇張して描いた役だった。
「当時、アジア系の俳優に回ってくる役の多くは、アジア系の固定観念に沿ったものだった」と、クァンは振り返る。しかし時代は変わったと、彼は語る。
「だからこそ、(マイノリティーに)公正な機会を約束することが重要な意味を持つ。(マイノリティーを)実際に目にすれば、理解が進み、恐怖心が薄らぐものだ」
ライターのH・アラン・スコットがクァンに話を聞いた。
──このドラマで最初に興味を引かれた点は?
アジア系の人間の多くにとって、『西遊記』はなじみ深い物語だ。それをアメリカの視聴者に紹介できると思うと、胸が躍った。