映画『テトリス』舞台裏──冷戦末期のソ連で開発されたゲーム、世界を魅了するまでの道のり
The Story of an Enduring Game
「この映画が、(ゲームそのものではなく)ゲームを取り巻く人々の物語、友情の物語になって本当によかった。『LEGOムービー』みたいなのよりもずっとうれしい」と、ロジャーズは語る。
ソ連時代の描写は完璧
「私にとっては、この映画は(ソ連の)官僚機構やビジネス上の陰謀やらを乗り越えて未来が生まれた物語だ」と、パジトノフは言う。「とても希望に満ちた映画だと思う。私の母国(ロシア)にも小さな希望を与えてくれる」
ロジャーズとパジトノフは当事者として、脚本を担当したノア・ピンクが必要なときはいつでも相談に乗ったという。ただ、撮影が始まったのは、世界がコロナ禍の真っただ中にあった2020年後半だっため、撮影にはほとんど立ち会えなかった。
「撮影の最初にズームで2人に話を聞いた」と、監督のベアードは言う。「その代わり彼らは脚本に深く関わってくれて、実際のエピソードやソースコード作成の細かい部分について、ノアに助言してくれた」
ベアードは同時に、「完成した作品に対する2人の反応に、とても恐縮している」と語った。「きっと、『ああ、現実はちょっと違った』と思うところはたくさんあるはずだ。でも、これは映画だからね。彼らは本当に素晴らしいパートナーでいてくれた」
作品中には1980年代のソ連のシーンも多いが、とてもよくできているとパジトノフは絶賛する。「この映画には、(政治体制の改革が始まった)ペレストロイカ時代のソ連や、当時の空気感、そして共産主義の暗い時代がとてもうまく描かれている。全てがとても正確だ」
「昔を描いた映画であり、今とは全く異なる時代を見せてくれる」と、パジトノフは付け加える。「共産主義体制は非常に暗い時代だった。見た人はそれを感じられるだろう」
テトリスをめぐる攻防は、ソ連崩壊のきっかけとなるペレストロイカの時代に起きたもので、「それは希望の時代、変化の時代だった」と、パジトノフは語る。「残念ながら、現在のロシアは当時よりも絶望的な状況にあり、もっとずっと暗い時代にある」
「ニューズウィーク誌は私にインタビューをして、テトリスに関する記事を掲載した最初のメディアの1つだった」と、パジトノフは振り返る。「とてもよく撮れた私の写真を使ってくれた。そのための数時間の撮影はほとんど拷問だったけれどね。でも、とてもいい写真が撮れた。本当に感謝している」
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