デジタルと伝統を融合させ日本の魅力を世界に伝えるクールジャパン・マッチングアワード2022
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(6)ネクストデジタル特別賞
受賞者(連携先):株式会社ゴンゾ、double jump.tokyo株式会社、クリエイター(小林誠、村田蓮爾、高岡じゅんいち、千葉道徳、飯島弘也、白亜右月、横山愛)
この取組の特徴は、日本の貴重な文化であるアニメにおいてクリエイター・作品・ファンが国境を越えて繋がるNFTの展開を実現できたところだ。
アニメ制作会社のゴンゾとブロックチェーンゲーム開発やNFT事業を手がけるdouble jump.tokyoが、7人のアニメ・クリエイターに新たな創作発表の機会を提供。アニメ×侍というテーマのアート作品をNFTで販売。2021年9月に販売開始された4種類計1,458点のシンボルNFTは全て1時間以内に完売、海外のNFTコレクターからも人気を博し、SNSのDiscord上では500人超のグローバルなコミュニティが醸成された。今後は、アニメ制作に向けてプロジェクトの拡大を予定しているところも期待したい点だ。
(7)マッチング賞(伝統芸能×テクノロジー)
© 松竹・NTT © 超歌舞伎
受賞者(連携先):松竹株式会社(日本電信電話株式会社、株式会社ドワンゴ)
この取組の特徴は、古典歌舞伎の伝統を守りつつ、先端テクノロジーとの融合を実現した「超歌舞伎」という形で観客参加型のライブ・エンタテインメントに昇華しているところだ。
2021年に伝統ある京都の南座にて2年ぶりに有観客公演として、中村獅童とバーチャルシンガーの初音ミクが共演。クライマックスには観客が振るペンライトの光を役者が纏う最先端技術が融合した演出の「超歌舞伎」を上演した。また、コロナ禍で世界に広がった舞台の有料配信を取り入れ、英語字幕を付けて世界11カ国でオンライン配信した。英語字幕のわかりやすさが好評を得るととともに、歌舞伎や初音ミクのみならず、伝統と最先端技術の融合が評価され、歌舞伎を国際的にアピールした。
(8)マッチング賞(アドベンチャーツーリズム×デジタルアート)
受賞者(連携先):阿寒アドベンチャーツーリズム株式会社
(阿寒アイヌ工芸協同組合、阿寒湖温泉旅館組合、阿寒観光汽船株式会社、一般財団法人前田一歩園財団、MOMENT FACTORY、環境省、林野庁北海道森林管理局根釧西部森林管理署、釧路市)
この取組の特徴は、国立公園の自然や後世に残すべきアイヌの伝承を観光資源として守りながら活かしているところだ。
「KAMUY LUMINA」は、阿寒摩周国立公園の「自然」あふれる阿寒湖畔の森で、アイヌの伝承に基づく「文化」のストーリーを、歩きながら楽しむライトな「アクティビティ」で、アドベンチャートラベルの要素が3つ揃ったコンテンツである。カナダのMOMENT FACTORYが制作し、世界で展開する「ルミナ・ナイトウォーク」シリーズのひとつで、国立公園での開催は世界初。本コンテンツは、アイヌの人々のストーリー監修、会場の土地利用、国立公園で開催するうえでの関係者の協力など、多くの連携で実現。今まで、2019年・2021年の2シーズンで合計約51,000名が入場。今後インバウンドを含め、多くのひとの来場を目指している。
(9)マッチング賞(舞台芸術×テクノロジー)
受賞者(連携先):株式会社グローバルビジネスラボ(パナソニック コネクト株式会社、株式会社ザイオン)
この取組の特徴は、世界で知名度の高い葛飾北斎の世界が新しい演出技法で蘇っているところだ。
2020年に製作された「葛飾北斎」を題材とした舞台芸術作品「The Life of HOKUSAI」は、世界で活躍するパフォーミングアーティスト「サカクラカツミ」の演出で、ノンバーバル(台詞なし)作品として完成した。舞踊、和楽器演奏に日本画の最新鋭デジタルプロジェクション等、映像技術を組み合わせた作品だが、コロナ禍のため無観客で上演し、それを映像収録して映像作品としても上映可能とした。2021年にはイギリス・エジンバラ芸術祭フリンジにオンライン出品し、4つ星★高評価を獲得。今後は、舞台の世界公演、全世界映像配信等、多様な展開を計画している。
2020年に起こった新型コロナウイルスによるパンデミックで世界ははからずも共通の危機に対峙することにになった。世界の急激な変化により、オンライン上での交流やECサイトでの買い物が浸透し、NFTなどの新しい技術も注目された。この変化を受け入れかつ活用することでかつてより逆に国の垣根を超えやすくなったともいえるだろう。
近畿大学特別招聘教授情報学研究所長であり審査委員長の夏野剛氏は、ウィズ/アフターコロナの時代に、クールジャパンの活動も新たなフェーズを迎えると語る。こういう時代だからこそ、知恵を絞り、新たな試みにトライすることが求められる。常に新しいものに挑み、新しい価値を生み出していくことがクールジャパンにとってもますます重要になると予測する。
今後ますます社会は技術革新が進みデジタル化していく。今回の受賞作のように、この変化をチャンスととらえ、新たなテクノロジーを活用した取組がクールジャパン戦略をさらに飛躍させることを期待したい。