聴覚障害者が主役の映画『コーダ』は歴史を作った...細かな違和感も吹き飛ばす偉業
CODA’s Complicated Oscar Win
アカデミー賞授賞式でのコッツァーと共演者のマトリン FREDERIC J. BROWNーAFPーGETTY IMAGESーSLATE
<アカデミー賞3部門を制覇した『コーダ あいのうた』。聴覚障害者の物語が浮き彫りにする「まだまだ」の現実>
今年のアカデミー賞授賞式の話題は、ウィル・スミスの平手打ち騒動一色。そんななか、インディーズ映画『コーダ あいのうた』が歴史をつくったという事実は見逃されてしまったかもしれない。
本作は、漁業を営む聴覚障害者の家族の中で一人だけ耳が聞こえる10代の少女、ルビー(エミリア・ジョーンズ)の物語だ。1年以上前にサンダンス映画祭でプレミア上映され、昨年8月に米劇場と動画配信サービスのアップルTVプラスで公開された。
アカデミー賞では3部門にノミネートされ、その全てを制覇。父親役のトロイ・コッツァーが助演男優賞、監督・脚本を手掛けたシアン・ヘダーが脚色賞を受賞し、最重要部門とされる作品賞にも輝いた。主要キャストの多くがろう者の映画が、作品賞候補になったのは史上初めてで、私たち聴覚障害者は結果を見守っていた。
聴覚障害者のコッツァーの受賞は、近年になって可能になった出来事の1つとして、ろう者コミュニティー全体が歓迎した。だが作品自体への反応には、賛否が入り交じる。
本作は耳の聞こえる人々が、耳の聞こえる登場人物を主人公にして作った映画だ。そのせいで、聴覚障害という体験の全体的な表現がステレオタイプ頼みになっている。
コッツァーとマーリー・マトリン(1987年にアカデミー主演女優賞を受賞した彼女はこれまで、アカデミー賞を手にした唯一のろう者の俳優だった)が演じる主人公の両親、ロッシ夫妻は聴者の娘を「通訳」にする。本職の通訳者を使う権利が米国身体障害者法で保障されている病院や裁判所でも、だ。この設定は笑いを狙ったものか、間違った緊迫感をつくり出すための選択にほかならない。
せりふの4割を手話が占める
聴覚障害者は音楽という概念を理解できず、ルビーの母親のように、耳の聞こえるわが子が歌を愛することを否定的に捉えるという描き方も、極めてばかげている。
そうは言っても、『コーダ』はせりふの4割を手話のASL(アメリカン・サイン・ランゲージ)が占める映画でもある。作品を支えるのは、聴覚障害者の主要キャストが見せる素晴らしい演技だ。ルビーの兄レオ(ダニエル・デュラント)は一家の通訳の役割を娘に頼る両親に強く反発し、最終的にはレオの主張が家族をよりよい道へ導く。
本作の欠点は作品の批判材料とは言えない。むしろ映画やドラマの世界、特にカメラの裏側に、より多くの聴覚障害者がどれほど必要かを知らせるシグナルだ。
一家族の私的な物語である『コーダ』が、世界全体で4億6600万人に上る聴覚障害者の全体像を描き出すという重荷を背負わされたのは不運だった。コッツァーが演じた粗野な詩人肌の父親には大笑いしたし、ロッシ夫妻がよくある障害者の登場人物と違って、清らかでも子供っぽくもなく、性的な人間として描かれたことは評価できる。
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