現代のセレブも使うジョン・レノン式成功モデル【没後40周年特集より】
HIS OTHER LEGACY
今にして思えば、人生をアートに、アートを人生にするというジョンの姿勢は、驚くほど先見の明があった。現在、これはスターの座に就く上での必須条件になっている。いま多くのスターたちは、リアリティー番組で初めて知られるようになったか、さらに知られるようになった人々だ。近年のMTVで最も人気を呼んだ番組『ザ・ヒルズ』は、ロサンゼルスに暮らす若者たちの私生活に密着するというものだった。人気ラッパーのカニエ・ウェストのツイッターは、自らのスターダムについての「解説」のように読める。
ジョンが成し遂げた最大の成功は、素晴らしい曲の数々を別にすれば、とてつもない有名人になったことではない。獲得した名声を綿密に分析し、自らコントロールし、機能するものへ進化させるというモデルを示したことだ。
ジョン以前の名声とは、レコードや映画のチケットをたくさん売ったことへの見返りにすぎなかった。これがジョン以後には「使えるツール」になった。実際、ジョンは68年にこう語っている。「この(名声という)マシンをいい方向に活用したい。ただ持っているだけじゃなく」
今は世界中の人々の目や耳が、すぐそこにある時代。だから気が付けば、誰もがスポットライトを浴びたがるようになっていた。でも、いったい何のために?──これはキャリアを通じてジョンの頭から離れなかった問いでもある。彼の生と死は、その点を考え続けることの重要性を改めて思い起こさせる。
<2020年12月15日号「ジョンのレガシー」特集より>
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