最新記事

韓流

韓国、JKの制服もKビューティーもK-POPも最新トレンドは「伝統美」

2020年10月20日(火)11時46分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

newsweek_20201019_221632.jpg

ミミダルが発売した高麗青磁柄のスマホケースとエアーポッズケース。외교부 서포터즈 모파랑TV / YouTube

陶磁器と言えば、先月デザイン会社ミミダルから発売された「高麗青磁柄スマホケース・エアーポッズケース」が大人気だ。先月初めに発売開始されたとたんSNSなどで話題となり、1週間で1万個を売り上げたという。その後、9月8日には生産が追い付かなくなり、ウェブサイトで配送遅延の報告を行う事態となっている。

このミミダルは、正式に会社となったのは去年2月からである。2018年に、クラウドファンディングで、伝統を生かしたペンケースを作りたいという企画から始まり、その後もクラウドファンディング・システムを生かして伝統美を意識したグッズを作り続けている。

ハン・サンミ社長のインタビューによると、ミミダルは大学の卒業生たちがサークルで何か作ろうという企画から始まった。その後、日本へ旅行に行ったときに、日本の若者たちが伝統的なデザインを取り入れた製品を使っているのを見て、自分たちも伝統を生かした製品を作ろうというのが、大ヒット商品を生んだきっかけだったという。"外国人が好きな韓国の伝統工芸ではなく、韓国人が好んで使える伝統柄製品を!"というコンセプトは、日本から得たインスピレーションだったのだ。

伝統の美に気付いたK-POPアイドルたち

このように、海外に一歩足を踏み出してみると、自分の国の美に改めて気づくことがある。ここ最近、韓国内はもとより、インターナショナルな活躍が目覚ましいK-POPアーティスト達も伝統美を意識した衣装を取り入れ、海外の人たちに発信する姿が目立っている。

最近ネットフリックスで全世界にドキュメンタリー映画が配信され、初のフルアルバムがビルボードのアルバムチャート2位になるなど世界的にブレイクしている話題の女性アイドルグループBLACK PINK。彼女たちが、今年の夏に発表された曲「How You Like That」のミュージックビデオで、韓服を現代的にアレンジした衣装を着て登場し話題となった。

また、タイ人メンバーのリサの衣装は、タイの伝統衣装と韓服を組み合わせたような斬新なデザインで注目を浴びた。このミュージックビデオは1週間で2億回再生を記録し、衣装デザインをしたブランド「ダンハジュダン」は、オンラインショッピングモールの1日訪問者数が1万人以上増も加したという。

一方、最近再びビルボードのシングルチャートで1位にランクインし、世界中のファンを熱狂させている男性アイドルグループBTSも、2018年に発表した楽曲『IDOL』で、韓服をジャケットのように羽織ったり、伝統模様を生かしたり、伝統美をアレンジした衣装を身に着け話題となった。

観光キャンペーンの伝統音楽はラップ?

newsweek_20201019_224234.jpg

伝統音楽を現代の楽器で演奏するバンド、イナルチが起用された観光キャンペーンの動画にも韓服を着て観光地を回るカップルが登場。문화체육관광부 / YouTube

さらに韓国観光公社の海外向け観光キャンペーンである「Imagine your Korea」に、今年のアーティストとして起用されたバンド「イナルチ」も多くの関心を集めている。

イナルチは、『新感染 ファイナル・エクスプレス』や『哭声/コクソン』など多くの映画音楽を手掛けてきたジャン・ヨンギュ氏を含む、7人組の韓国伝統音楽フュージョンバンドだ。ベースやドラム、また現代的な電子的リズムに合わせ、韓国伝統声楽であるパンソリの歌声が絶妙にマッチしている。

K-POPアイドルはラップが上手なグループが多いが、イナルチの曲の中には韓国の伝統的な歌唱でありながらラップを思わせる部分も多く、今昔が混ざり合って新しいハーモニーを生み出している。現在TVやイベントにも引っ張りだこで、韓国観光公社のキャンペーン動画はすでに2億回再生を記録し、今後新しいK-Musicとして注目を集めている。

海外に目を向けると、自分の国らしさを意識するようになる。グローバルに活動するK-popが、韓国らしさを取り入れ始め、デザイン会社が日本旅行で逆に韓国的な製品製作のアイディアを思いつくといったトレンドの流れも納得できる。 今の若者たちは、生まれながらにして世界と繋がっているだけに、自然と自分の国の美や伝統に目を向けやすくなっているのではないだろうか。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏とゼレンスキー氏が「非常に生産的な」協議

ワールド

ローマ教皇の葬儀、20万人が最後の別れ トランプ氏

ビジネス

豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口の中」を公開した女性、命を救ったものとは?
  • 3
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 6
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 7
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 8
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 8
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中