ハリウッドとエンタメ業界を直撃した最悪のコロナ危機
The Hit to Hollywood
ニュースのケーブル局も健闘している。ニールセンの調べでは、トランプによる国家非常事態宣言の翌週、この業界が最も重視する25~54歳のプライムタイムの視聴率がCNNは前年同期の3倍に、MSNBCは56%上昇。3社の中で依然トップのFOXニュースは89%上昇した。
一方、テレビ広告は打撃を受けそうだ。全米大学体育協会(NCAA)男子バスケットボールのトーナメントなど大型のスポーツイベントが延期や中止に追い込まれている。NBCユニバーサルは放映権を持つ東京五輪の広告枠の9割、額にして12億ドル余りを売り出し済みだが、五輪は来年に延期された。
広告大手のグループエムは2019年12月時点で、テレビ、デジタル、ラジオなどの米広告市場は2020年に約5%増の2540億ドルに達すると予測。だが今では新型コロナ以前の経済予測を基にするのは「楽観的過ぎる」と、同社のビジネス・インテリジェンス責任者ブライアン・ウィーザーは言う。「予測を下回るのは必至。問題はどの程度下回るかだ」
低水準が当たり前になると懸念する声もある。コーエンのダグ・クロイツ上級リサーチアナリストは3月23日、6社以上の2022年までの利益予測を平均20%下方修正した。新型コロナ禍による景気後退は「テレビ広告の永遠の降板」を象徴するからだという。
<本誌2020年4月21日号掲載>
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2020年4月21日号(4月14日発売)は「日本人が知らない 休み方・休ませ方」特集。働き方改革は失敗だった? コロナ禍の在宅勤務が突き付ける課題。なぜ日本は休めない病なのか――。ほか「欧州封鎖解除は時期尚早」など新型コロナ関連記事も多数掲載。