名だたる作家が快諾する海外文学ガイド「BOOKMARK」の執筆依頼状を公開
フリーペーパー「BOOKMARK」第1号から第12号の表紙。7500部が刷られ、書店やカフェに無料配布されるが、すぐになくなってしまい入手困難になる
<海外文学をそれぞれ翻訳者自らが紹介する人気のフリーペーパー「BOOKMARK」。各号の巻頭には著名作家のエッセイが載るが、どうやって依頼しているのか。編者が明かす>
2015年に創刊したフリーペーパー「BOOKMARK」の第1号から第12号までが単行本にまとめられ、このたび『翻訳者による海外文学ブックガイド BOOKMARK』(金原瑞人・三辺律子 編、CCCメディアハウス)として出版されました。204冊の作品を紹介し、江國香織さんや星野智幸さん、町田康さん、村上春樹さんらによるエッセイも収録した1冊です。
「BOOKMARK」は海外文学の紹介冊子で、毎号テーマを決めて、そのテーマにそった作品16冊を紹介しています......というふうに、いちいち説明するのが面倒なので、第14号の巻頭エッセイの依頼状をそのまま貼りつけます。というのも、ここに、この冊子ができた経緯も、目的も、第1号からの足取りもすべて書かれているからです。
あさのあつこさま
ごぶさたしておいて、いきなりお願いです。
「BOOKMARK」という小冊子の第14号(Against)の巻頭エッセイをお願いしたく、メールを差し上げました。(Against)というのは、「反抗、抵抗」というふうな意味をこめたタイトルです。
あさのさんの作品の多くがこのテーマに関わっているように思い(とくに『No.6』など)、今回、ぜひエッセイをご依頼する次第です。
「BOOKMARK」は海外の翻訳作品の紹介冊子で、とくに若者に読んでもらいたい作品を中心に取り上げています。サイズはCDケースの大きさで、全24頁。1頁に1作ずつ、合計16冊紹介します。部数は7,500。編集協力者は翻訳家の三辺律子さん。表紙・デザインはオザワミカさん。金原の個人冊子で、スポンサーはなく、無料配布。書店やカフェで、海外小説の宣伝や販売促進に使っていただいています。また、全国2000館の公共図書館にも送っています。
現在13号まで出ていて、内容は以下の通りです。
第1号「これがお勧め、いま最強の17冊」、現代青春小説の特集
第2号「本に感動、映画に感激」、原作もおもしろい、映画もおもしろい作品の特集
第3号「まだファンタジー? ううん、もっとファンタジー!」、ファンタジーの特集
第4号「えっ、英語圏の本が1冊もない!?」、英語圏以外の本の特集
第5号「過去の物語が未来を語る」、歴史物の特集
第6号「明日が語る今日の世界」、SFの特集
第7号「眠れない夜へ、ようこそ」、ミステリ・ホラー特集
第8号「やっぱり新訳!」、新訳特集
第9号「顔が好き」、装幀特集
第10号「わたしはわたし、ぼくはぼく」、LGBT特集
第11号「Listen to Books!」、音楽特集
第12号「これ、忘れてない?」、戦争特集
第13号「絵+字で、無敵!」、グラフィックノベル特集
(ちなみに巻頭エッセイ執筆者は、①江國香織、②ひこ・田中、③松岡佑子、④東山彰良、⑤深緑野分、⑥星野智幸、⑦恒川光太郎、⑧町田康、⑨川名潤、⑩松田青子、⑪村上春樹、⑫佐藤亜紀、⑬小野耕生のみなさんです)。
どの号も多くの書店から申し込みをいただき、フェアなども開催され、大きな反響がありました。配布店/関連フェア店リストについては、http://www.kanehara.jp/bookmark/をご覧下さい。
第14号は(Against)「反抗、抵抗」特集で、紹介しようと考えているのは以下のような作品です。【以下、具体的な書名、訳者、出版社が続くのですが、それは省略】
お忙しいのは重々承知しているのですが、ぜひ、ご執筆ください。
巻頭エッセイ、詳細は以下の通りです。
・800字程度
・御自作にからめてご自由に。
・締め切りは4月15日(月)のつもりですが、応相談です。
・第1号から第12号についてはhttp://www.kanehara.jp/bookmark/をご覧ください。PDFで読めます。
・また、冊子がなくなると金原のHPにPDFで載せることも、あわせてご了承ください。
ご返事、お待ちしています。
こんなお願いのメールを出したところ、あさのさんからすぐにOKの返事をいただきました。一方で、その号で取り上げる本の紹介文を、訳者の方にお願いし、出版社の編集者の方には書影を送っていただいたり、とまあ、こんな感じで毎号、作ってます。