スマホゲームでも快進撃のBTS ゲームとリアルの垣根を越える韓国K-POP
今年のビルボードミュージックアワードでトップ・デュオ/グループ賞、トップソーシャルアーティスト賞を受賞したBTS防弾少年団 Mario Anzuoni - REUTERS
<歴史問題や半導体材料の輸出規制などで政治的には関係悪化が続く日韓だが、音楽の世界ではK-POPアイドルが日本の音楽番組に出演する一方、AKBのメンバーが韓国で活動するなど相互交流が行われている。そんななか、現在のK-POP界を牽引するグループが新たなフィールドに進出して注目されている>
今や日本の音楽界にも定着しつつあるといえる韓国のアイドルたち。K-POPを知らない人でも「BTS(防弾少年団)」の名前を目にしたことはあるのではないだろうか? 韓国や日本はもとより、欧米でも人気が高いことで有名だ。先日も南北アメリカ、欧州、日本とワールドツアーを行い、日本ではスタジアムツアー2都市4回公演で21万人を動員した。また、今年発売されたミニアルバム『MAP OF THE SOUL : PERSONA』は、米ニールセンミュージックが公開した2019年上半期の報告書によると、アメリカで最も多くパッケージ販売(ダウンロードなどは除く)されたCDアルバム部門の1位に輝いた。
BTS(防弾少年団)は、7人からなる男性アイドルグループだ。2013年に韓国でデビューし、翌年2014年に日本でも公式デビューしている。デビューから3年後の2016年にはビルボード200で韓国人アーチスト最高位となる26位にランクイン。2018年9月には第73回国連総会に出席し、世界中の若者たちへ向けた英語でのスピーチを行い話題となった。
BTSのファンたちは「Army(アーミー)」と呼ばれている。そのなかでも、インタビューや出演番組を英語などに翻訳して積極的に世界に配信している一部のファンのことを「防弾Translation」と呼んでいるそうだ。こういったファンの地道な活動が海外に人気を広げるきっかけになっていったのかもしれない。
そんな飛ぶ鳥を落とす勢いのBTS(防弾少年団)が、6月26日に彼らをモデルとしたスマートフォン用ゲームアプリ『BTS WORLD』を配信開始した。これは体験型育成シミュレーションゲームで、プレーヤーはBTSのコンサートへ行く途中、突然タイムトリップして彼らがデビューする前の2012年へ。そしてなぜか彼らのマネージャーとなって、BTSを現実のような人気グループに成長させることができるのか? というストーリー展開である。
世界的な人気グループだけあって、6月26日の配信日に世界176カ国に正式リリースされると、その後、日米を含む33カ国で無料アプリランキングの1位を獲得した。
アプリの機能としては、メインのシミュレーションゲーム以外に1万枚を超える秘蔵写真を楽しめるほか、「もしもアイドルグループに入っていなかったら何をしていたか?」というアナザーストーリーも楽しめる。また、スマートフォンでのビデオ通話やSNS風のやりとりで、メンバーとのコミュニケーションを疑似体験できるスマートフォンゲームならではの工夫もされている。
ゲームと同時期にサウンドトラックCDも発売されたが、このアルバムのメインタイトル曲は、アルバム発売までの48時間、ゲーム内でのみ鑑賞できるようになっていた。サウンドトラックをゲーム内で独占公開するなど、リアルな世界とゲームとの垣根を超えた試みを積極的に取り入れているのが分かる。