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適度なアルコールは初期アルツハイマー病に効果的?

2015年12月11日(金)16時10分
ジェシカ・ファーガー

 現在多くの高齢者医療の専門家は、アルツハイマー病患者に対してアルコールの摂取を控えるよう勧めている。認知症状を悪化させるという研究結果が出ているためだ。さらにアルコールは記憶障害とも関連があるとされている。

 脳神経科学の専門誌「ニューロロジー」に掲載されたリポートによると、7000人を対象に実施した研究調査から、1日にグラス2杯半以上のアルコールを摂取する人は、6年以内に記憶の消失が加速する可能性があることがわかっている。

 今回の研究を担当した研究者は、アルコールとアルツハイマー病の関係を解明するにはさらに研究が必要だと述べている。今回の研究は、あくまでもアルツハイマー病患者の飲酒行動を観察しただけに過ぎないからだ。医学研究としては、サンプル規模も比較的小さい。

「この研究結果だけに基づいて、アルツハイマー病患者にアルコールの摂取を勧めたり、また反対に禁酒を勧めたりすることはできない」と、研究者は結論で述べている。「この分野のさらなる研究が必要だろう。特に興味深いのは、中期症状の患者の認知機能の低下や症状の進行に関してアルコールがどのような影響を及ぼすか、という点だ」

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