最新記事

映画

『アドバンスト・スタイル』が教えてくれるもの

2015年6月1日(月)17時05分
大橋 希

sinema01june010615-2.jpg

「彼女たちから元気をもらった」と話す男性の観客も多いという © 2014 Advanced Style The Documentary Llc. All Right Reserved.

──ゴージャスな年長者がいるのはニューヨークだからこそ?
 
確かにニューヨークには独特の大胆さや独創的な雰囲気があり、恐れを知らない女性が多いのは確かだろう。彼女たちが、街をランウェイに見立てている感じもする。でも最近訪れたアムステルダムにも素敵な女性はたくさんいたし、銀座を2時間歩いたときには10人以上の写真を撮ったよ。

──映画に登場する女性たちに、改めて教えてもらったことはあるか。

彼女たちの物語を聞くことで、自分自身の人生について気付くことがあったり、学ぶことは多い。でも僕は映画を撮る以前から彼女たちと強いつながりがあったから、改めて、というものはないかもしれない。

まあ、新しい発見といえば、それぞれの女性と自分が1対1で接している時と違い、みんなを一緒にすると意外にいろいろな力学が働くんだな、ということ(笑)。

何か問題が起きれば一丸となって立ち上がるし、互いの面倒も見合う。でもみんな自尊心や競争意識があり、健全な虚栄心も持っている。どこかにライバル意識があるのはすごく興味深かった。

年齢に対する差別意識みたいなものが生まれるのは、世代を越えた交流がないからではないか。僕には2人の祖母という素晴らしいロールモデルがいたから、年を取ることを肯定的にしかとらえていない。でも、メディアが年長者を主役として扱うことがないとか、死を連想させるイメージしか発信していないとか、そういう問題はあると思う。

──その素晴らしいロールモデルという祖母たちはどんな人だった?

両親が共働きで忙しかったから、いろんなことを知るきかっけを作ってくれたのは祖母たちだった。特に「クリエイティブなことをしたいならニューヨークに行くべき」と勧めてくれた祖母ブルーマは、僕のバイブルみたいな存在だった。自分が若かった頃の、コンピュータや車がない時代の写真を見せてくれたり、古い映画や音楽を教えてくれたり。図書館の司書をしていたので、一緒に図書館に行って本をたくさん借りたりもした。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国尹大統領に逮捕状発付、現職初 支持者らが裁判所

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 8
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 9
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 10
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中