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映画ラシダ・ジョーンズが語る恋と友情と元カレ
主演&脚本作『セレステ∞ジェシー』には彼女と元カレの経験がたっぷり詰め込まれている
自分らしく 表情豊かなジョーンズの演技に引きつけられる 撮影:Okamura Masahiro(CROSSOVER Inc.)
ヘア&メイク:Mariko Kubo
別れた相手と友達でいられるか? 相手に恋人ができたら? ヨリが戻る可能性は?――きっと誰もが経験したことのある恋愛の難問をテーマにした映画『セレステ∞ジェシー』(リー・トランド・クリーガー監督)が5月25日に日本公開される。
主人公は学生時代からの付き合いで、最高に気の合うセレステとジェシー。離婚を前提に別居中だが、しょっちゅう会っては一緒に出掛けたり、食事をしたりしている。しかしある出来事が起きて、2人は遠ざかっていき......。ちょっと笑えて、共感を覚えるストーリーが多くの支持を集め、アメリカではわずか4館の限定公開から586館の拡大公開を実現した。
ウィル・マコーマックと共同で脚本を手掛け、セレステ役を務めたのが女優、モデル、ミュージシャンと幅広い活躍をみせるラシダ・ジョーンズだ(米音楽プロデューサーのクインシー・ジョーンズを父親に持ち、ハーバード大学卒という経歴も目を引く)。
自分で選んだ道なのに、いざ相手が予想外の行動を取ると焦りと未練で爆発しそうになるセレステ。矛盾に満ちて、強いのか弱いのか分からないキャラクターだが、そこにはジョーンズの「疑問」が投影されている。
「ロマンチックコメディが好きなんだけど、気になるのは『キャリアは上手くいっていて、男がいないことが欠点』という女性の描かれ方が多いこと」と、ジョーンズは言う。「仕事での成功が恋を邪魔しているわけじゃなくて、実際は本人に欠点があるから恋人がいない。でもそこを描いていないの。だからセレステは『なんなのこの女』って見た人が思うようなキャラクターにしたかった。それに映画の別れのシーンって美しいけど、実生活では誰かと別れた時にはメイクもファッションもボロボロになるし、スナック菓子のドカ食いとかしちゃうでしょ? そのリアルな感じを出したかった」
下品すぎず、2人の関係性がよく分かるシーン
その感じは、セレステとジェシー(人気コメディアンのアンディ・サンバーグが好演)がリップクリームやベビーコーンを使ってふざける場面にも生きている。笑えることは笑えるが、こんなに開けっぴろげな下ネタをやるか? と思う人もいるかもしれない。でも、ジョーンズにとってはそれがリアルな人間関係だ。「ウィル(・マコーマック)とファーマーズマーケットに行った時によくふざけてやっていたの(笑)。下品すぎず、2人の関係性がよく分かるやり取りだと思ったから脚本に盛り込んだ。下ネタが言いにくい相手は、友達になれないか、恋心がある人なんじゃない? 友達ならそういう感覚もシェアできないとね」
男女の友情は成り立つか、という問いには、ジョーンズは「もちろん! 親友になれる」と即答。実は脚本を書いたマコーマックとはかつて3週間だけ恋人だった仲。付き合ってすぐに友達関係の方がいいと互いに悟り、別れたが、その後も親友として付き合っている。「この脚本を描いたのは、私もウィルも恋愛にとても興味があったから。いろいろ経験して分かったこともあるけど、やっぱり分からないことも多い。私たちがこの10年間で経験してきたものすべてをこの脚本に注ぎ込んだ」と、ジョーンズは言う。
恋愛ドラマは主人公たちにどのくらい感情移入できるかで鑑賞感が左右されがち。その点、『セレステ∞ジェシー』はただの恋人でなく、夫婦の設定にしているためちょっとハードルが高い......ように思えるが、実際はそうでもない。ジョーンズが描き出すリアルな人生とほろ苦い現実に共感を覚える人はきっと多いはず。サントラ(特にリリー・アレンの「Littlest Things」)もお勧めだ。