東証1部が「なくなる」──市場再編で何が変わるか、企業・マーケットの動きが活発になってきた
■グロース市場
最後にグロース市場は、従来のジャスダックとマザーズを合わせたような新興の成長企業を対象とした市場です。
「高い成長可能性を実現するための事業計画」を有している企業を対象としていますが、事業計画の観点から相対的にリスクが高い企業に投資をする機関投資家や個人投資家のための市場とも定義されます。
上場のための基準も3つの市場の中でもっとも緩く、流通株式比率が25%以上、株主数は150人以上、流通株式時価総額は5億円以上などとなっています。
いずれの市場に関しても、上場基準などはこの他にも要件がありますが、ここでは主な要件のみの紹介としています。詳しくはJPXのホームページでご確認ください。
市場再編のスケジュール
2022年4月の市場再編まで1年を切り、取引所と企業の双方で準備が進んでいます。
まず、2021年6月末の時点で新市場の上場基準に適合しているかどうかの判定がされました。これを受けた通知が7月に各上場企業に対して行われ、東証1部に上場している2,191社のうち、約3割に該当する664社がプライム市場の基準に該当しないことがわかりました。
今後9月から12月までの間に、上場会社各社は希望する新市場への上場の申請を行います。このとき、希望する市場の上場基準を満たしていない場合でも、「上場維持基準の適合に向けた計画書」を提示することで上場が認められる場合がある、という経過措置が取られることになっています。
これらの手続きを経て、2022年4月4日(月)、いよいよ東証の新市場への移行がなされます。
市場再編を見据えた企業の動き
市場再編に対して、企業はさまざまな動きを開始しています。特にこれまで東証1部に上場していた企業は、プライム市場とスタンダード市場ではプライム市場のほうがブランドや知名度、流動性などの面でメリットがあると考える企業も少なくありません。
また、市場再編に合わせてTOPIX(東証株価指数)の算出方法も見直されるため、インデックスファンドによる買い需要にも関わることから、個別の株価動向にも大きな影響があるとみられています。
このため、上場基準の当落線に近い企業は早くから動いています。