日本株投資だけやっている人にとっても、テスラが無視できない理由
本来、既存の自動車の販売体制をもって販売するならば、もっと高価な車になっていたはずです。言い換えれば、トヨタやホンダなど既存の自動車メーカーも電動化を進めていますが、テスラと同様な車を作っても、価格競争の点ではまったく刃が立たない可能性が高いということにもなります。
なぜ、株式市場で無視できない存在なのか?
そんなテスラは、世界の株式市場におけるポジショニングがとてつもなく大きくなっています。
企業価値を表す時価総額の世界ランキングを見ると、世界市場の主役企業がわかります。2021年1月22日時点の1位はアップル(23,030億ドル)、2位はサウジアラムコ(20,400億ドル)、3位はマイクロソフト(17,010億ドル)、4位はアマゾン・ドット・コム(16,590億ドル)、そして5位がグーグル擁するアルファベット(12,770億ドル)。GAFAといわれる誰もが知っている有名企業が並びます。
知っての通り、GAFAは世界のIT産業をリードしている企業であり、その関連する企業も含め、世界経済を牽引しているという点は異を唱えることのできない事実です。そしてテスラの時価総額は、これらの企業に肉薄する7位(8,010億ドル)に位置しており、これを見る限り、通常の会社ではないことがわかります。
時価総額は発行済み株式総数に株価をかけて算出されるため、時価総額が伸びているということは当然、テスラの株価は上昇しています。2020年の初めに85ドルほどだった株価は、コロナ禍で大きく上昇し、2021年2月には一時900ドルを突破しました。
ちなみに、日本企業の時価総額首位は世界の自動車産業トップのトヨタですが、世界のランキングでは47位(2,087億ドル)に留まっています。売上も販売台数もトヨタの10数分の1のテスラが、トヨタの約4倍の時価総額をもつ会社となっていることを考えると、衝撃的なポジショニングといえるでしょう。
テスラは時代変化の象徴かもしれない
株式投資をする上で基本的な情報である企業業績にも触れておきましょう。テスラは、2019年第3四半期に初めて営業黒字になるまで、赤字企業でした。また、現在も黒字とは言え、とても世界時価総額7位の会社の利益水準とはいえません。
こうしたことから、世界の証券アナリストの株価評価が分かれる会社となっています。割高であり、適正株価は現在の価格よりもずっと下とか、あるいは、将来的な成長を見越した上昇であるとか。ただ、株式市場の歴史を振り返ると、今見えている情報だけをベースに根拠ある分析をしてしまうと、株価分析が間違ってしまうことがしばしば起こるのも確かです。
事実は、世界7位の時価総額になるまで株価が上昇していること。