コロナ不況でも希望報酬を実現する交渉術とは?
The Right Words to Nab a Raise
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<報酬を大きくアップさせるために必要なのは、「ちょっとした準備」と「ちょっとした厚かましさ」>
コロナ禍に見舞われたアメリカでは数千万人が職を失い、経済そのものも大きな打撃を受けている。そんなご時世に転職先の会社と報酬について交渉したり、いま働いている会社に給与アップを求めたりするのはリスキーだと思う人も多いかもしれない。
だが複数の大手企業で人事担当重役を務め、今は賃金交渉に関するコンサルタントとして活動しているエズラ・シンガーに言わせればそうではない。企業は優秀な人材をこれまでになく求めており、ちょっとした準備とちょっとした厚かましさで、働きに見合った給与を求めるのは可能だし、そうすべきなのだ。
シンガーによれば、報酬アップを求める交渉が不調に終わる理由は主に3つある。「私は何百人という企業幹部の採用に関わってきた」とシンガーは言う。面接ではほとんどの場合、報酬の話が出たが、企業側が用意していた最高額で交渉を妥結できた人はほとんどいなかったという。
シンガーによれば、失敗する原因の1つ目は給与の相場を知らないこと。2つ目は話の持ち掛け方を知らないことで、3つ目はノーと言われた際の対応の仕方を知らないことだった。「もしこの3つの問題を解決できれば、報酬を大きく改善するチャンスを手にできる」とシンガーは言う。
本誌米国版と人脈サイト「リンクトイン」のインタビュー・シリーズ「ベター」の企画で、シンガーに報酬アップを目指す交渉のコツについて話を聞いた。
相場を知る
求人企業についての情報サイトのグラスドア・ドットコムなどには企業の口コミ情報が集まっていて、最近では企業の大まかな給与水準は外からも分かるようになっている。シンガーは一般論として「企業の規模が大きければもらえる給与も高くなる」と語る。報酬はまた、勤続年数や勤務地によっても変わる。
シンガーによれば「仕事のできる人であれば」、面接で自分と同じカテゴリーの集団の給与データを見せて、「『私の能力から言っても、この中で一番上のほうの給与を頂いても差し支えないと思っています』と言っても不適切ではない」。
話の持っていき方を知ろう
アメリカでは、前職での報酬について企業の側から尋ねることは法律で禁じられている。自分から言うのも駄目だとシンガーは言う。転職後の給与についてどのくらいを想定しているかも言ってはならない。言ってしまえば、それが上限になってしまうからだ。
シンガーは面接の場で「報酬の話をするのは面接を一通り終えて、私が御社に合った人材で、御社に大きな価値をもたらすことができるとお互いに納得できてからにしませんか」と話を持ち掛けるようクライアントにアドバイスしている。採用が現実味を帯びてきた後のほうが、企業側があなたに用意する給与額も高くなるはずだ。