日経平均株価を個別株投資にうまく活用できていない人もいる
つまり、ファーストリテイリングの日経平均株価に対する影響度は、みずほFGの38倍に上ることになります。これは決して、ファーストリテイリングがみずほFGより38倍大きいということではなく、日経平均株価の計算方法の特徴によるものです。
このように日経平均株価は値がさ株の影響が大きく、特に海外投資家からは「市場全体の動きを反映していない」という声があるのも事実です。
しかし、市場を大きく動かすプレイヤーである機関投資家も日経平均株価を運用の目安にしているように、日本の代表的な株価指数であることには間違いありません。そのため、少なくとも「相場全体の動きを把握するために、代えのきかない指数のひとつである」とは考えることができるでしょう。
■過去の日経平均株価と単純に比較できない
過去の日経平均株価と現在の日経平均株価では、構成銘柄が異なるため、単純比較をすることができません。
例えば、現在の価格との比較で、バブル期の史上最高値である38,915円がよく引き合いに出されます。しかし、バブル期から現在まで残っている銘柄は約3割ほど。7割はすでに入れ替わっており、そもそもバブル期とは算出されている対象銘柄自体が異なるのです。
そのため、過去の価格よりも、現在の日経平均株価のEPSやBPSなど業績を基に、現在の価格が高いのか、低いのかを判断したほうが実態に沿っていると言えるでしょう。
ソフトバンクが採用され、ZOZOは選ばれなかった
2020年9月1日、日経平均株価の銘柄入れ替えについて、ソフトバンク<9434>の新規採用と日本化薬<4272>の除外が発表されました。発表の翌営業日、ソフトバンクの株価は上昇した一方で、日本化薬は10%下落。さらに、新規採用候補に挙げられていたカカクコム<2371>やZOZO<3092>にも失望売りが出ました。
このように日経平均株価の採用・除外に絡む思惑で、銘柄の明暗が大きく分かれることがあります。
日経平均株価は、セクターのバランスを取るため、採用銘柄数が妥当銘柄数より多いセクターからは除外、少ないセクターには追加採用します。今回は、妥当銘柄数を下回る消費セクターからの新規採用が期待されていました(結果はソフトバンクで技術セクター)。
こうした理由から、今後も、カカクコムやZOZO、スクウェア・エニックス・ホールディングス<9684>など消費セクターの採用期待は継続しそうです。
なお、任天堂<7974>も新規採用銘柄候補として名前が上がることがありますが、2020年10月5日時点での株価は56,920円。もし値がさ株の任天堂が採用されると指数に大きな影響を与えることになるため、選ばれにくいだろうという声も上がっています。