最新記事
株の基礎知識

日経平均株価を個別株投資にうまく活用できていない人もいる

2020年10月20日(火)06時50分
加茂 歩 ※株の窓口より転載

つまり、ファーストリテイリングの日経平均株価に対する影響度は、みずほFGの38倍に上ることになります。これは決して、ファーストリテイリングがみずほFGより38倍大きいということではなく、日経平均株価の計算方法の特徴によるものです。

このように日経平均株価は値がさ株の影響が大きく、特に海外投資家からは「市場全体の動きを反映していない」という声があるのも事実です。

しかし、市場を大きく動かすプレイヤーである機関投資家も日経平均株価を運用の目安にしているように、日本の代表的な株価指数であることには間違いありません。そのため、少なくとも「相場全体の動きを把握するために、代えのきかない指数のひとつである」とは考えることができるでしょう。

■過去の日経平均株価と単純に比較できない

過去の日経平均株価と現在の日経平均株価では、構成銘柄が異なるため、単純比較をすることができません。

例えば、現在の価格との比較で、バブル期の史上最高値である38,915円がよく引き合いに出されます。しかし、バブル期から現在まで残っている銘柄は約3割ほど。7割はすでに入れ替わっており、そもそもバブル期とは算出されている対象銘柄自体が異なるのです。

そのため、過去の価格よりも、現在の日経平均株価のEPSやBPSなど業績を基に、現在の価格が高いのか、低いのかを判断したほうが実態に沿っていると言えるでしょう。

ソフトバンクが採用され、ZOZOは選ばれなかった

2020年9月1日、日経平均株価の銘柄入れ替えについて、ソフトバンク<9434>の新規採用と日本化薬<4272>の除外が発表されました。発表の翌営業日、ソフトバンクの株価は上昇した一方で、日本化薬は10%下落。さらに、新規採用候補に挙げられていたカカクコム<2371>やZOZO<3092>にも失望売りが出ました。

kabumado20201020nikkei225-chart3.png

このように日経平均株価の採用・除外に絡む思惑で、銘柄の明暗が大きく分かれることがあります。

日経平均株価は、セクターのバランスを取るため、採用銘柄数が妥当銘柄数より多いセクターからは除外、少ないセクターには追加採用します。今回は、妥当銘柄数を下回る消費セクターからの新規採用が期待されていました(結果はソフトバンクで技術セクター)。

こうした理由から、今後も、カカクコムやZOZO、スクウェア・エニックス・ホールディングス<9684>など消費セクターの採用期待は継続しそうです。

なお、任天堂<7974>も新規採用銘柄候補として名前が上がることがありますが、2020年10月5日時点での株価は56,920円。もし値がさ株の任天堂が採用されると指数に大きな影響を与えることになるため、選ばれにくいだろうという声も上がっています。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 7
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 10
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中