「ワーケーション」「二地域居住」定着のカギは地方のモビリティー──ウィズコロナ時代の新しい働き方に応じた交通インフラ整備を
インバウンドの激減により稼働率が低迷するホテル、旅館などの一部は、既にワーケーション向けプランを販売し始めている。しかし、ワーカーたちに中期的・繰り返し滞在してもらうためには、ホテルや旅館が所有する専用車両だけでは移動ニーズに応えきれない可能性がある。そこで、もし地域に自家用有償旅客運送が導入されれば、地元のホテルや旅館などと連携した企画が可能になり、リピーター確保につながるかもしれない。そしてワーカーたちが地域の観光地や飲食店などで消費すれば、地域経済が潤う。
ワーケーションや二地域居住などの新しい働き方は、ウィズコロナ、アフターコロナの一つのキーワードになっている。その拠点となる宿泊施設やシェアハウス、シェアオフィス等の整備は企業などが先行して行っているが、ワーカーたちが実際にその地域で生活していけるかどうかは、拠点外での移動手段が整っているかどうかにかかっている。
その対策は、一企業、一個人で取り組むことは難しい。自治体が主導し、地域の住民や企業と協力することが必要不可欠である。ウィズコロナの新しい働き方から生まれた地方活性化のチャンスを定着させるカギは、地方の関係者が連携してモビリティー向上を急ぐことにあると考える。
[執筆者]
坊 美生子(ぼう みおこ)
ニッセイ基礎研究所
生活研究部 准主任研究員・ジェロントロジー推進室兼任