最新記事

投資の基礎知識

追加利下げも近い? FRBの金融政策が日本の株価に与える影響とは

2019年8月23日(金)16時49分
山本将弘 ※株の窓口より転載

●為替

為替レートは金融政策の影響を大きく受けます。たとえば、アメリカが利下げを行うとドルの人気が下がるため、ドル安になります。すると、アメリカの輸入企業では業績が悪化することになり、株価にマイナスの影響を与えます。

一方、日本ではドル安の影響で円高が進み、輸入関連企業の業績は上がりますが、主力である輸出関連企業の業績は下がり、それが日経平均株価を押し下げる要因となってしまいます。

●外国人投資家

現在、日本株を売買している投資家の6割が外国人投資家だといわれています。その外国人投資家の半分は、アメリカの投資家(個人および機関投資家)です。

彼らアメリカ人投資家は、日本株だけを取引しているわけではありません。当然、アメリカ株も取引しています。そこで、たとえば利上げによってアメリカ株が下がった場合、日本株を売ることで損失を穴埋めしようとします。こうした動きもまた、日本株の変動に影響を及ぼすことになるのです。

FOMC発表後の株価はどうなったか

それでは、実際にFOMCによって利上げ/利下げが発表された後、株価がどのように動いたのかを見てみましょう。

●2008年12月:政策金利の大幅引き下げ

まずは利下げを実施したケースから。2008年12月16日、FRBはFOMCにおいて、金融政策のターゲットにしているFF金利を従来の1.00%から0.00~0.25%に引き下げることを発表しました。サブプライムローン問題に端を発するリーマンショックなどの経済の混乱を収めるための一手でした。

市場では0.25%から0.5%前後への引き下げが予想されていましたが、それを大幅に上回る利下げとなり、アメリカの政策金利は先進国のなかでも最低となりました。

通常、政策金利が引き下げられれば株式市場には好影響と考えられており、アメリカの主要株価指数であるダウ平均株価は、前日と比較して359.61ドル(+4.20%)の上昇となりましたが、日経平均株価へのインパクトはそれほどではありませんでした。

そして、年が明けてからはダウ、日経ともに下落。その後、東日本大震災などもあり、リーマンショック前の水準まで回復するのは2013年のことになります。

kabumado190823frb-chart1.png

(Chart by TradingView

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

インタビュー:ドル円は120円台が実力か、日本株長

ワールド

イラン通貨リアルが過去最安値、米政権との対立懸念

ビジネス

中国の対外投資、香港のチャンスに 金融管理局総裁が

ワールド

ブラジル中銀、不確実性高まりで次回の政策方向性示す
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 3
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取締役会はマスクCEOを辞めさせろ」
  • 4
    「トランプが変えた世界」を30年前に描いていた...あ…
  • 5
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 6
    トランプ批判で入国拒否も?...米空港で広がる「スマ…
  • 7
    「悪循環」中国の飲食店に大倒産時代が到来...デフレ…
  • 8
    【クイズ】アメリカで「ネズミが大量発生している」…
  • 9
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 10
    老化を遅らせる食事法...細胞を大掃除する「断続的フ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 7
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「レアアース」の生産量が多…
  • 10
    古代ギリシャの沈没船から発見された世界最古の「コ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中