最新記事

投資の基礎知識

追加利下げも近い? FRBの金融政策が日本の株価に与える影響とは

2019年8月23日(金)16時49分
山本将弘 ※株の窓口より転載

FRB のパウエル議長(手前)とトランプ米大統領 Carlos Barria-REUTERS

<7月末に10年半ぶりの利下げを行ったFRBだが、早くも追加緩和圧力が高まっている。アメリカの金融政策は米経済、世界経済のみならず、日本の株式市場にも大きな影響を与える。日本株にどう影響するのか、改めて整理する>

アメリカの金利と日本株の関係

株式市場では、中央銀行が決定する金融政策、特に政策金利が株価に影響を与えるといわれています。しかも、日本だけでなくアメリカの金融政策も日本の株価に影響を及ぼすというのです。

■アメリカの金融政策の仕組み

アメリカには、FRB(The Federal Reserve Board)という中央銀行制度の最高意思決定機関があります。日本語で「連邦準備理事会」と呼ばれるこの機関は、日本でいうところの日本銀行の役割を果たしています。

このFRBが開催するFOMC(連邦公開市場委員会:Federal Open Market Committee)という会合で、アメリカの金融政策が決定されます。この会合は年に8回開催され、景況判断と、それに合わせた政策金利の上げ下げなどの方針が発表されます。

アメリカにおける政策金利となるのはFF金利(フェデラル・ファンド・レート)で、アメリカが利上げをしたとか、ゼロ金利政策を導入したとニュースで耳にした場合は、FOMCによってFF金利が変動したということです。

ちなみにFF金利とは、アメリカの銀行が連邦中央銀行に預けている準備金にかかる金利で、短期の指標金利となります。現在日本の政策金利となっている「無担保コール翌日物」レートに相当するものだと考えていいでしょう。

■アメリカの金融政策が日本株に影響を及ぼす理由

なぜアメリカの金融政策が日本の株価に影響を及ぼすのかといえば、日本株は次の3つの要素に影響されるからです。

・アメリカの株価
・為替
・外国人投資家

これらはいずれもアメリカの金融政策に連動しています。そのため、日本でもFOMCの動向が常にニュースになり、利上げか利下げかをめぐって様々な憶測が飛び交うことになります。

●アメリカの株価

アメリカの株価が、どうして日本の株価に影響するのでしょうか? それは、アメリカと日本の経済的な結びつきが大きいためです。日本経済は他国との貿易に依存している傾向にありますが、なかでも、アメリカとの関係は切っても切れません。

そのため、アメリカが金融政策によって利上げ/利下げを行い、それによってアメリカ株が下落/上昇すると、日本株もそれに連動して動く傾向にあります。特にアメリカの株価が下落したときには影響を受けやすく、反対に、アメリカ株が上昇したときの連動性は低いといわれています。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

独外相、中国の輸出規制による欧州産業混乱巡る問題解

ビジネス

パラマウント、ワーナーに敵対的買収提案 1株当たり

ワールド

EU、自動車排出量規制の最新提案公表を1週間延期 

ビジネス

NY外為市場=米ドル上昇、FOMCに注目 円は地震
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 7
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 8
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 9
    死刑は「やむを得ない」と言う人は、おそらく本当の…
  • 10
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中