最新記事

つみたてNISA

つみたてNISAの利点と注意点、ベテラン投資家も知っておきたいこと

2018年9月27日(木)18時35分
株の窓口

インデックス型が多い理由

これらの要件をすべてクリアしたファンドは計148本(6月22日現在)。約5000本(ETFを除く)ものファンドがあることを考えれば、ごく限られた数(約3%)だということがわかります。

その内訳は、以下のようになっています。

・指定インデックス投信:131本
・アクティブ運用投信等:17本
・ETF(上場投資信託):3本

インデックス投信とは、日経平均株価やTOPIXといった指数(インデックス)と値動きが連動するように設計されたファンドのこと。反対に、ファンドマネージャーが銘柄を選んで指数を上回る成績を目指すのがアクティブ運用です。人に頼るため、どうしても運用コストが割高になります。

つみたてNISAの要件で言えば、国内株のインデックス投信では信託報酬の上限は0.5%とされていて、該当する32本の平均は0.27%。一方のアクティブ運用投信の場合は、上限1.0%に対して該当6本の平均は0.95%となっています。

(参考記事)【気になる隣の退職金】甘い罠をくぐり抜け......プラス13%の利益を出せた理由

つみたてNISAの注意点

「税金ゼロで手数料は低め」と、かなり魅力的なつみたてNISAですが、もちろん注意点もあります。

・NISAとつみたてNISAの併用はできない
・投資可能期間は2018年~2037年
・非課税投資枠は毎年40万円が上限
・非課税投資枠に未使用分があっても、翌年以降に繰り越すことはできない
・非課税期間終了後に、翌年の非課税枠に移すこと(ロールオーバー)はできない

なかでも注意したいのが、NISAとの併用ができない点でしょう。20年をかけて投資信託に800万円を積み立てていくか、5年で600万円を好きなように運用してみるか――自分にはどちらが合っているのか、よく考えて選択する必要があります(年単位での変更は可能)。

また、何より忘れてはいけないのは「投資」だという点です。いくら少額で、長期で、積立で......とリスクが低そうに思えても、最悪の場合は元本割れ、つまり投資した金額よりも減ってしまう可能性があることは、必ず覚えておきましょう。

コストを見直す契機に

投資において「リターン(利益)」をコントロールすることは不可能です。なぜなら、どんな投資対象であっても、「絶対に儲かる」などということはないからです。投資家がコントロールできるのは「リスク(損失)」と「コスト(税金や各種手数料)」のみ。

それを考えると、「税金がかからない」「国お墨付きの低コスト」ということは、確実かどうかもわからない「リターンの高い金融商品」を探すよりも、よほど手堅いと言えるでしょう。

つみたてNISAは資産運用のはじめの一歩、と見られがちですが、一方で、この低コストに徹底した制度は、投資に慣れて、ついついコストを忘れがちな人ほど注目すべきかもしれません。ぜひ、つみたてNISAの対象商品と、いま保有しているファンドのコストを見比べてみてはいかがでしょうか。

[筆者]
網代奈都子[あじろ・なつこ]
30代OL。仕事のかたわらトレードを行っており、そのスキルを磨くべく日々勉強中。目下の目標は年間の利益100万円。安定した利益を出し、ペット可物件に引っ越すのが夢。

※当記事は「株の窓口」の提供記事です
kabumado_logo200new.jpg

※当記事は2018年7月9日にアップした記事の再掲載です。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中