最新記事

iDeCo

iDeCoは「絶対に儲かる資産運用術」? 実は、落とし穴も少なくない

2018年9月27日(木)19時30分
網代奈都子 ※株の窓口より転載

kellymarken-iStock.

<個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」を絶賛する声もあるが、節税効果のメリットが大きいものの、注意すべき点もいくつかある。何より、iDeCoは年金なのだと忘れてはならない>

新しくなった個人型確定拠出年金、通称「iDeCo(イデコ)」。その節税効果の高さから、「最強の節税術」「絶対に儲かる資産運用法」などと巷では絶賛されているようですが、実は、すべての人に手放しで勧められない弱点もあります。果たして、あなたには向いているでしょうか?

「自分で運用する」年金

そもそも「確定拠出年金」って?という方のために少し説明を。

意外と勘違いしている人も多いのですが、公的年金(国民年金や厚生年金)は、自分が積み立てた保険料が将来年金として戻ってくるわけではありません。現役世代が払った保険料で高齢者世代に年金を給付する仕組みです。

そのため、少子高齢化が進んで高齢者のほうが多くなると、現役世代の負担がどんどん大きくなってしまいます。そこで、保険料の一部を年金積立金として運用しているのです(運用しているのは年金積立金管理運用独立行政法人)。

将来受け取る金額は自分次第

これに対して、加入者本人が運用方法を選んで積み立てていくのが確定拠出年金(日本版401k)で、企業が運営する企業型と、個人で行う個人型(=iDeCo)があります。ちなみに、「individual-type Defined Contribution pension plan」から5文字を取って「iDeCo」なんだそうです。

2017年からすべての人が個人型に加入できるようになりましたが、掛金(保険料)は職業によって異なっていて、自営業者で月6.8万円、会社員なら月1.2万~2.3万円です(会社員には企業年金もあるため)。「確定拠出」とは、この掛金が確定しているという意味です。

毎月決まった金額を納め、それを自分で選んだ投資信託などで運用し、損益が反映されたものを将来年金として受け取る----これが確定拠出年金の仕組みです。したがって、自分が払ったお金が自分の年金になりますが、いくら受け取れるかは自分の運用実績次第ということになります。

なんと言っても魅力は節税効果!

そんなiDeCoの大きなメリットは節税効果です。

(参考記事)確定申告していますか? 実は、納税しなくてもいい場合もあるんです

まず、支払った掛金はすべて課税対象から控除されます。たとえば、自営業で課税所得300万円の人が月額上限の6.8万円を積み立てると、所得税と住民税をあわせて年間16万3200円の節税になります。30歳から積み立てたとすると、60歳までの節税額は計489万6000万円にもなります。

さらに、通常の金融商品は、運用益に計20.315%の税金がかかりますが、iDeCoの運用益はすべて非課税です。しかも、将来年金として受け取った際にも所得控除を受けられます。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 10
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中