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日本のビジネススクールは行く価値があるか?

2018年3月20日(火)15時25分
松野 弘(千葉商科大学人間社会学部教授)

一般の学部に比べると博士号取得率は高いが、この点では慶應義塾大学ビジネススクールのほうに軍配が上がる。

慶應義塾大学の場合、欧米のビジネススクール並みにアテガミックとビジネスの双方の経験を備えているのに対して、早稲田大学の場合は、欧米のコンサルティング企業などの企業経験者を数多く、教員として採用しているのだ(注:早稲田大学ビジネススクールは、①大学院商学研究科ビジネス専攻の専任教員、②大学院会計研究科の専任教員、③旧アジア太平洋研究科国際経営学専攻の専任教員、④大学院ファイナンス研究科の専任教員を集約して、2016年に大学院経営管理研究科として発足しているので、専任教員の数が他大学に比べて非常に多い)。

本来、ビジネススクールで学ぶ目的は企業の経営幹部として、ビジネスマネジメント能力を獲得することである。単なるビジネススキルを学ぶだけであれば、高い授業料を払ってビジネススクールに通う必要はなく、専門学校レベルで十分である。

高度なマネジメントスキルを企業経営に活かしていくためには、経営哲学・経営政策・経営戦略をグローバルに展開できるようなビジネススクールが必要であることは論を俟たない。

日本のビジネススクールは今後も日本的経営型のビジネス環境に追随していくのか、それとも、グローバルなビジネス環境に対応していくのか、明確な教育方針・カリキュラム体系・教授陣の質的向上等の改善策を図っていくことが求められるだろう。

最後に、ビジネススクールでMBAを取得していなくても、ビジネスの世界で成功した人々がいることも付記しておきたい。

マイクロソフトのビル・ゲイツ、アップルのスティーブ・ジョブズ、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグという世界有数のベンチャー企業の創業者たちは、いずれも大学中退者だ。ゲイツとザッカーバーグはハーバード大学、ジョブズはリード大学(オレゴン州)の中退である。

ビジネススクールだけが果たして21世紀のグローバルなトップマネジメントを育成する高等教育機関であるかどうかを再考していく必要があるだろう。

[筆者]
松野 弘
博士(人間科学)。千葉商科大学人間社会学部教授、千葉大学予防医学センター客員教授、東京農業大学客員教授等。日本大学文理学部教授、大学院総合社会情報研究科教授を経て、千葉大学大学院人文社会科学研究科教授。千葉大学を定年後、現職。『現代環境思想論』(ミネルヴァ書房)、『サラリーマンのための大学教授の資格』(VNC)、『大学教授の資格』(NTT出版)、『大学生のための知的勉強術』(講談社現代新書)など著作多数。

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