新生TOEICで試される、英語コミュニケーションの実力
グローバル化に伴って増加し続ける受験者数
出題形式の変更は全体の25~30%くらい。リスニングとリーディングを合わせて、2時間で200問に答える形式や10~990点というスコアの採点方式も変わらない。また、基本的な難易度は変わっておらず、例えば企業で管理職の昇進に関する基準の点数を設けている場合、その基準を変える必要もないという。
「ただし、昨年5月に行った受験者へのアンケートでは、"難しくなった"または"やや難しくなった"と答えた人が約70%。ところが、スコアは変わったかという問いに対して、"変わっていない"または"ほとんど変わっていない"と答えた人が約70%いた。実際に平均スコアは、改訂前が578点で改定後は572点だった」と、山下氏は説明している。
1979年以来、TOEIC L&Rの受験者数は増加しており、2016年度の受験者数は約250万人。中でも日本企業の英語の社内公用語化が話題になった2010年の翌年には飛躍的に増加した。実際に社会のグローバル化が進展していく中で、2011年から2016年にかけてはより多くの人たちが受験するようになった。
また、2007年からは英語を話したり書いたりすることで、発信する能力を測るTOEIC Speaking & Writing Testsが実施され、こちらの受験者数も毎年増え続けている。英語力を身につけなければいけない環境に置かれている人が、以前よりも増えていることを意味している。
「英語でのしっかりした読み書きや会話ができる人の数は相当増えているはず。ただし、それ以上に新たに英語を学習する人が増えているため、この30年間の平均スコアはあまり変わっていない」と、山下氏は分析する。
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かつての日本企業では、英語力を必要とする人たちは限られていたが、今は経理部門などの英語と関わりのなさそうな部署であっても、海外子会社の経理部門と英語でやり取りをする時代。さまざまな人たちが、英語力の必要性を感じていることが、受験者数の増加に繋がっている。
TOEIC L&Rには個人で受験する公開テストと、企業や学校などの団体で随時実施される団体特別受験制度(以下、IPテスト)がある。昨年改訂されたのは公開テストで、今年4月にはIPテストの出題形式も改訂されたことで足並みがそろった。英語のコミュニケーション能力をより正確に測れるテストになったことで、日本人の本当の意味での英語力向上に繋がることが期待されている。
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