最新記事
BOOKS

「行動すること」の重要性...世界的ベストセラーから竹田ダニエルが再発見した「チャンスをつかむ方法」とは?

2025年1月17日(金)12時20分
竹田ダニエル(ジャーナリスト)

それはスピリチュアルなものでもマッチョなものでもなくかなり泥臭いもの。私はこの本を読んで以来、とにかく全ての出会いは「新しい自分を知るチャンス」だと捉えるようになったし、あらゆる出来事も無駄ではないという考えを持つようになった。

本当にここまでガツガツしている人がいるのか、と日本の読者は疑問に思うかもしれない。

しかし、アメリカで「生き残っていく」には、確かにこのくらいの忍耐と特攻力と図太さが必要になってくる。


 

日本よりもはるかに「自分で成功をつかむ」必要がある(逆に言い換えれば、基本的には他者には頼れないし簡単には助けてもらえない)アメリカ社会では、待っているだけではチャンスはほぼ確実に訪れない。

今後の日本においても、未来への不確実さや将来への不安は増していく一方だろう。自己責任論やマッチョなストイックさをうたう自己啓発本も、その心理に漬け込むことでどんどん人気を得やすい状況になっている。

しかし本書が提示してくれるのは「自分だけがうまく行く方法」というよりも、不確実性さえも楽しみ、あえてその予測不可能な未来の中に可能性を見出す試行方法なのではないだろうか、と思う。

締めくくりで書かれている「この本で何より伝えたかったのは、快適な場所から離れ、失敗を恐れず、不可能だと決めつけることなく、あらゆる機会をとらえれば、可能性は無限に広がり、輝くことができる、ということでした」という言葉は、「正解」が決して一つではなく、臨機応変に未来に対応していく必要が求められている今の日本のあらゆる世代に、強く響く言葉なのではないだろうか。


竹田ダニエル(Daniel Takeda)
1997年生まれ、カリフォルニア州出身・在住。現在カリフォルニア大学バークレー校大学院在学中。「カルチャー ×アイデンティティ×社会」をテーマに執筆。「音楽と社会」を結びつける活動を行い、日本と海外のアーティストを繋げるエージェントとしても活躍。著書に『世界と私のA to Z』『#Z世代的価値観』『SNS時代のカルチャー革命』(すべて講談社)、『ニューワード ニューワールド 言葉をアップデートし、世界を再定義する』(集英社)など。



newsweekjp20250115064547-3408db8c8c7bff2d8f2e1646a4788d8d02c1db31.png


新版 20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義
 ティナ・ シーリグ[著] 
 高遠裕子[訳]/ 三ツ松 新[解説]
 CCCメディアハウス[刊]


(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

20250121issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年1月21日号(1月15日発売)は「トランプ新政権ガイド」特集。1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響を読む


※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

24年の中国成長率5%、「ポジティブなサプライズ」

ワールド

EU、マスク氏所有のXの調査強化発表 トランプ米政

ビジネス

25年の英経済成長率1.6%の見通し、G7で3番目

ビジネス

IMF、25年の世界成長3.3%に引き上げ 米経済
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 3
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ?(ショベルカー・サイドビジネス・シーサイドホテル・オーバースペック)
  • 4
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 5
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 10
    内幕を知ってゾッとする...中国で「60円朝食」が流行…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 8
    大麻は脳にどのような影響を及ぼすのか...? 高濃度の…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中