最新記事
日本経済

トランプ勝利で円安再燃、揺れる利上げ慎重論...介入警戒感も浮上

2024年11月8日(金)14時23分
ドルと円

米大統領選でトランプ前大統領が勝利し、為替は円安に振れた。来年1月の就任に先立ち、トランプ減税や関税強化などの政策を織り込む形でドル高/円安が再び勢いづくことも予想され、今後の動向次第で政府内の利上げ慎重論に揺さぶりをかけそうだ。市場では介入警戒感も浮上している。写真は2010年撮影(2024年 ロイター/Yuriko Nakao)

米大統領選でトランプ前大統領が勝利し、為替は円安に振れた。来年1月の就任に先立ち、トランプ減税や関税強化などの政策を織り込む形でドル高/円安が再び勢いづくことも予想され、今後の動向次第で政府内の利上げ慎重論に揺さぶりをかけそうだ。市場では介入警戒感も浮上している。


「日銀への期待」明記へ

トランプ氏の大統領選勝利は、石破茂政権にとって、今月下旬の閣議決定をめざす経済対策に着手した矢先の一報だった。

複数の政府、与党関係者によると、経済対策では、1)物価高の克服、2)日本経済・地方経済の成長、3)国民の安心・安全の確保――という3本柱を想定している。予算や財政投融資、税制などを念頭に、あらゆる政策を総動員する姿を打ち出す。

デフレ脱却に向けては、引き続き日銀と足並みをそろえていく構えだ。素案では「日銀と緊密に連携し、デフレからの早期脱却と物価安定の下での持続的な経済成長の実現に向け、一体となって取り組んでいく」と記す。

首相は10月の就任直後に「個人的には現在、追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」と言及。その後、自らの発言を打ち消したが、首相周辺では「個人消費が力強い回復には至っていない」(幹部)ことから、利上げは慎重であるべきとの声が残る。

先の衆院選で少数与党となった現政権は、野党とどう連携していくかも避けて通れない内政面の課題だ。金融政策運営を巡り、秋波を送る国民民主党からは「向こう半年は利上げを急ぐべきではない」(玉木雄一郎代表)との声が上がる。

社会的価値創造
「子どもの体験格差」解消を目指して──SMBCグループが推進する、従来の金融ビジネスに留まらない取り組み「シャカカチ」とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシアがICBM発射、ウクライナ空軍が発表 初の実

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部の民家空爆 犠牲者多数

ビジネス

米国は以前よりインフレに脆弱=リッチモンド連銀総裁

ビジネス

大手IT企業のデジタル決済サービス監督へ、米当局が
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「ワークライフバランス不要論」で炎上...若手起業家、9時〜23時勤務を当然と語り批判殺到
  • 4
    習近平を側近がカメラから守った瞬間──英スターマー…
  • 5
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    クリミアでロシア黒海艦隊の司令官が「爆殺」、運転…
  • 8
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 9
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 10
    70代は「老いと闘う時期」、80代は「老いを受け入れ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国」...写真を発見した孫が「衝撃を受けた」理由とは?
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    建物に突き刺さり大爆発...「ロシア軍の自爆型ドロー…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶり…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中