ハリス氏惨敗の背景に「アメリカ中流階級の生活苦の悲鳴」が聞こえる

CASH CRUNCH

2024年11月8日(金)13時00分
ジョシュア・レット・ミラー(本誌記者)

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ペットショップを経営するジョン・オルセンは、バイデン政権の「明るい景気見通し」を全く実感できないという COURTESY OF JOHN OLSEN

コロナ禍以前は、中流であるマディ一家の経済状況は安定していて、よくデパートに買い物に行き、いちいち値札を確認せずに買い物をしていた。今は「買い物の仕方がすっかり変わってしまった」と、マディは言う。

「娘の誕生日のための買い物も1ドルショップで済ませている。昔は、こんなときは(大手スーパーの)ターゲットやパーティー用品のお店で買っていたけれど、それはもう無理になった」

食品も近所の食品スーパーでは買わなくなったという。安売り店でまとめ買いをするようになった。大手スーパーと比べると、価格が3割くらい違う場合もあるからだ。


「ストレスはとても大きい」と、マディは語る。「以前と同じようには買い物ができなくなったし、最近は旅行にも行けなくなった。生活のいろいろな局面で倹約と貯蓄を考えなくてはならない。クリスマスの過ごし方も様変わりしてしまった」

26歳の息子ジャックの暮らしも、ゆとりがあるとはとうてい言えない。海軍を除隊し、今は警察官として働くジャックは、出費を賄い、住宅ローンを返済するために、週に80時間働くこともあるという。

「いつも決まって中流層が一番損をする」と、マディは語る。

「政府による支援プログラムの受給対象には当てはまらず、そうかといって生活苦を感じずに済むほどの収入もない。日々の食料品を買えないという心配はないけれど、かなりあくせく働かなくてはならない」

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