最新記事
BOOKS

【10刷!重版出来】超厳しいが「エモい」文章読本...3行で撃たれても、書きたくなるひとが続出している理由

2024年10月21日(月)17時15分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
梅田蔦屋書店

梅田 蔦屋書店(2020年12月)/撮影:朴敦史

<文章は「誰でも」「簡単に」書けるわけがない、と気づいているあなたへ。しかし、書ければ「人生が豊かになる」とエールを送ってくれる本を紹介>

「誰でも書ける」「すぐに書ける」「簡単に書ける」と謳う文章セミナーや文章術の実用書市場が飽和状態だ。仕事で文章を書く人から、文章で自己表現したい人まで、「うまい文章」を書けるようになりたい人は多く、ライターになりたい人も増えている。

しかし、ありがちなセミナーや実用書の惹句のように文章は「誰でも」「すぐに」「簡単に」書けるものなのか。文章で真剣に何かを伝えようとしたことがある人は、すぐに気づくだろう。文章を書くことが簡単なわけがない。

「書く」人たちの口コミで広がりロングセラーに


自分のなかに、どうしても解決できない、しかし解決しないと前に進めない問いがある。その問いに答えようと試みるのが、究極的には〈書く〉ということの本質だ。【第24発 書く、とは(302ページ)】

朝日新聞記者で作家の近藤康太郎氏による文章読本『三行で撃つ 〈善く、生きる〉ための文章塾』(CCCメディアハウス)の一節だ。

2020年末の発売以降、プロのライターや記者、書く力を付けたい人たちの反響を呼び、出版社の経営者が編集者に勧めた例も複数報告されている。「いい文章を書くための文章技巧25発」で構成され、書き出しの三行、起承転結、語彙、一人称、文体、リズム、禁則事項他、1冊で必要十分なノウハウを網羅する。

レッドオーシャンの文章術市場において、本書がロングセラーとして定着した理由は、数多の本と決定的に違う2つの特徴にある。

文章に対する厳しいが真摯な姿勢に共感

1つは書くことに対して決して甘いことを言わない、著者のストイックな姿勢だ。厳しいが、書くことに対してどこまでも真摯であろうとする熱意が読者に伝播し、読み終わる頃には不思議と何か書いてみたくなるのである。

著者によると、〈書く〉とは〈考える〉ことだ。〈考える〉ためには、毎日を〈善く生きる〉必要がある。人生を精いっぱい生き切ることで、経験する事象や己について考え抜き、自分の知らなかった自分を発見する。


歩くこと。見ること。なんでもいい。小さなことでいい。なにか書いてみる。生きてみることだ。【おわりに 一九八七年秋――ハート・オブ・ダークネス(314ページ)】

そして、生き切るためには、読み、学び、筆を磨き、鍛錬しなくてはならない(編集部注:方法は本に詳述されている)。では、考え抜くとは具体的に、どういうことだろう。本書より、ごく初歩的な文章技術を例に挙げる。

金融
日本のウェルスマネジメントは欧米とどう違う?...MUFGが「今こそ必要」と考える理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、150円台後半 米大幅利下

ビジネス

米国株式市場=ダウ・S&P下落、国債利回り上昇で

ワールド

米国防長官がキーウ訪問、4億ドル追加支援表明 無人

ワールド

シリア首都にイスラエルのミサイル攻撃、ヒズボラ送金
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:米大統領選 イスラエルリスク
特集:米大統領選 イスラエルリスク
2024年10月29日号(10/22発売)

イスラエル支持でカマラ・ハリスが失う「イスラム教徒票」が大統領選の勝負を分ける

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア兵の正面に「竜の歯」 夜間に何者かが設置か(クルスク州)
  • 2
    逃げ場はゼロ...ロシア軍の演習場を襲うウクライナ「ATACMS」攻撃、無防備な兵士たちを一斉爆撃
  • 3
    「常軌を逸している」 トランプ、選挙集会で見せた「異様な姿」...認知能力への懸念の声が一気に高まる
  • 4
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
  • 5
    「なぜその格好...」ルーブル美術館を貸し切った米モ…
  • 6
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 7
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 8
    日米をまたぐ保険のプロが語る、災害や政情不安、米…
  • 9
    グロズヌイ「巨大爆発」の瞬間映像...「戦時」の不安…
  • 10
    騒然!中国がCCTV「台湾侵攻」番組で伝えた想定展開…
  • 1
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の北朝鮮兵による「ブリヤート特別大隊」を待つ激戦地
  • 2
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア兵の正面に「竜の歯」 夜間に何者かが設置か(クルスク州)
  • 3
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料を1ウォンも払わず 「連絡先分からず」と苦しい言い訳
  • 4
    目撃された真っ白な「謎のキツネ」? 専門家も驚くそ…
  • 5
    ウクライナ兵捕虜を処刑し始めたロシア軍。怖がらせ…
  • 6
    逃げ場はゼロ...ロシア軍の演習場を襲うウクライナ「…
  • 7
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 8
    裁判沙汰になった300年前の沈没船、残骸発見→最新調…
  • 9
    「メーガン・マークルのよう」...キャサリン妃の動画…
  • 10
    「常軌を逸している」 トランプ、選挙集会で見せた「…
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 3
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の北朝鮮兵による「ブリヤート特別大隊」を待つ激戦地
  • 4
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 5
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はど…
  • 6
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ…
  • 7
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明…
  • 8
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する…
  • 9
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
  • 10
    コストコの人気ケーキに驚きの発見...中に入っていた…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中