最新記事
マネー

キャッシュレス先進国アメリカで、「現金」が若者のトレンドに...大人たちからは「電子マネーを使え」の声

Gen Z’s Pockets Full of Cash

2024年4月4日(木)17時33分
アリス・ハイアム

金融アナリストのダグ・キャリーは、若い世代が現金を使うのは予算管理の方法を学べるのでいいことだと言う。

「キャッシュ・スタッフィングは、お金をためるのが難しい多くの若者にとって実にいいアイデアだと思う」と、キャリーは言う。「うちの子供たちには、できるだけ現金を使わせるようにしている。自分のお金を使う『痛み』を感じてほしいからだ」

若い世代にとって現金は「クールな新発明」

「靴を買うのに20ドル札を8枚出せば、画面上でカードをタップするよりリアルに感じられる」と言うのは、クレジットカードの選び方や使い方をアドバイスするカードレーツ・ドット・コムのエリカ・サンドバーグだ。

多くのZ世代は、親の世代も現金よりカードを使って育った。そのため現金を使うことが目新しくて夢中になると、サンドバーグはみている。若い世代にとって現金は「クールな新発明」だと彼女は言う。

「キャッシュ・スタッフィングが古典的な手法になったのには理由がある。効果的だからだ」とサンドバーグは語る。「特定の期間の使途別の予算を決め、現金を封筒に入れる。それがなくなったら、次に現金を入れるまで支出できない」というシンプルさが効いていると、彼女は指摘する。

一方で、黒人が所有する銀行としては全米最大であるワンユナイテッド銀行のテリ・ウィリアムズ頭取は、アメリカの黒人は銀行に対する長年の不信感から、現金をよく使っていると語る。

「黒人コミュニティーでは、現金を使う割合が以前から高かった」と、ウィリアムズは言う。

「黒人には歴史的に銀行への不信感があり、現金を手元に置くほうが安全だという認識がある。私たちは現金を保有することについての顧客の関心を理解し、尊重している。デジタルバンキングには多くの利点があるが、現金を使うことで若い世代は『リアルなお金』で支払っていることを理解し、支出に上限を設ける必要を認識できる」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

訂正-米テキサス州のはしか感染20%増、さらに拡大

ワールド

米民主上院議員、トランプ氏に中国との通商関係など見

ワールド

対ウクライナ支援倍増へ、ロシア追加制裁も 欧州同盟

ワールド

ルペン氏に有罪判決、次期大統領選への出馬困難に 仏
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 10
    「関税ショック」で米経済にスタグフレーションの兆…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中