日銀、きょうマイナス金利解除も 決定なら「異次元緩和」終了
日銀は19日の金融政策決定会合で、マイナス金利政策を解除するかどうか決める。写真は日銀本店。都内で18日撮影(2024年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
日銀は19日の金融政策決定会合で、マイナス金利政策を解除するかどうか決める。解除を決定すれば17年ぶりの利上げで、2013年4月の国債大量購入とリスク資産買い入れから始まった「異次元緩和」が事実上終了することになる。
鈴木俊一財務相は同日午前の閣議後会見で、「政府として何か申し上げることは控えたい」と決定会合に関する発言を避けた。一方で、春闘の妥結状況がここまで順調なこと、企業の設備投資がおう盛なことに言及し、「明らかにいい兆候が現れている」と述べた。
日銀は金融政策の正常化に向けた情報発信を増やすなど地ならしを進め、今春闘で物価上昇を上回る十分な賃上げが実現するかどうか注視してきた。連合が15日に発表した賃上げ率の1次集計は5.28%と、33年ぶりに5%を超えた。
植田和男総裁は、大手企業の多くが組合の要求に回答した13日午後の参院予算委員会で、春闘の動向は「大きなポイントとなる」と述べていた。
19日の会合2日目で物価目標の実現が見通せる状況になったと判断した場合、マイナス金利解除とともに、イールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)を同時に撤廃する可能性が高い。
短期の政策金利は当座預金3層構造の政策金利残高への付利から、無担保コール翌日物金利に戻した上で、ゼロ―プラス0.1%で推移するように誘導する案が有力。3層構造を廃止し、超過準備にプラス0.1%の付利を実施することで、無担保コールレートがゼロ―プラス0.1%の範囲で推移するように市場調節を行うことになる。
10年金利の誘導目標ゼロ%は廃止し、政策金利を短期金利に一元化する見通し。10年金利の形成は基本的に市場に委ねることになるが、急激な金利変動を招かないように当面は現行6兆円程度の国債買い入れを目安として継続する案が出ている。
上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)の買い入れもやめるとみられる。
斎藤健経産相は午前の閣議後会見で、マイナス金利政策が解除された場合の企業の資金調達や設備投資への影響を問われ、「金利がどんどん上昇する状況になるとは考えていない」とする一方、「中小企業も含めて物価上昇や、仮に金利が上がっても、そういった状況を乗り越えていけるよう生産性の向上などしっかり支援をしていきたい」と述べた。
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