公的支出カット、中央銀行廃止、米ドル法定通貨化?...アルゼンチン新大統領の公約、超インフレ経済はどうなる
Teetering on the Edge
とはいえミレイの戦略はマクロ経済の指標を上向かせてもいる。ペソ切り下げで輸入品の価格が上昇したため輸入量が減り、貿易支出は低下。おかげでキャッシュ不足にあえぐ中銀は減る一方だったドルの外貨準備を多少増やせた。政府は1月、一時的ながらも財政が黒字に転じたと発表。1月のインフレ率の前月比は20.6%と高率だったが、それでも昨年12月の25.5%に比べれば改善した。
一方で、緊縮財政は景気後退を一段と加速させると専門家は警告する。国際金融協会(IIF)の予測では、今年第1四半期のアルゼンチン経済の成長率はマイナス7.8%。IMFは年率でマイナス2.8%と予測している。
こうした状況でもミレイは世論調査で52%と高支持率を保っているが、国民がどこまで耐乏生活を受け入れるかは疑問だ。1月下旬には主要労働組合が緊縮財政に抗議してゼネストを決行。物価の高騰は治安の悪化を招き、各地で集団略奪が多発している。
物々交換で食べ物にありつくこともできなくなるかもしれないと、マルダノの不安は募る一方だ。
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