最新記事
EV

イーロン・マスク、中国EVを警戒...貿易障壁なければ「世界を駆逐するだろう」

2024年1月25日(木)18時44分
ロイター
イーロン・マスク

米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は24日、中国の自動車メーカーは、貿易障壁がなければ世界の競合相手を「駆逐」するだろうと述べた。写真は北京のホテルを出ようとするイーロン・マスク氏。23年5月撮影。(2024年 ロイター/Tingshu Wang/File Photo)

米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は24日、中国の自動車メーカーは、貿易障壁がなければ世界の競合相手を「駆逐」するだろうと述べた。EV業界のリーダーが中国勢の台頭を大いに警戒していることを示唆した。

テスラは大幅な値下げにもかかわらず、昨年第4・四半期の販売首位の座を中国EV最大手の比亜迪(BYD)に譲った。BYDは比較的手ごろな価格や多彩なラインアップで躍進した。

マスク氏はアナリスト向け決算説明会で、中国自動車メーカーを「最も競争力がある」と評価。「どのような関税、貿易障壁が設けられるかにもよるが、中国以外でも大きな成功を収めるだろう」とし、「貿易障壁がなければ、世界の同業のほとんどを打ち負かすだろう。彼らは非常に優秀だ」と述べた。

マスク氏はこの日、2025年後半に米テキサス州の工場で次世代EVの生産を開始する見通しを示した。ただ新モデルの増産は困難を伴うとの見方を示し、今年の販売減速を警告した。

テスラは昨年、積極的な値下げを実施。利益率を犠牲にして販売を優先する動きは投資家を心配させた。しかし、安定したサプライチェーン(供給網)を武器にコストを抑えることに長けている中国勢の動きは速い。

消費者分析会社ラングストンのパートナー、スペンサー・イメル氏は「BYDやNioなどは、信頼性や耐久性、安全性では中程度だが、車載技術やバッテリー交換などの革新的な技術で、中国での需要は高い」と述べ、それが今後の海外での成長において重要な要素で差別化の要因になると指摘した。

マスク氏は24日、中国同業と提携する「明白な機会はない」と述べた。ただ、中国勢に対し充電網へのアクセスを認めたり自動運転など他の技術のライセンスを供与したりする可能性をテスラは排除していない。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20250401issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月1日号(3月25日発売)は「まだ世界が知らない 小さなSDGs」特集。トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


自動車
DEFENDERの日本縦断旅がついに最終章! 本土最南端へ──歴史と絶景が織りなす5日間
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

焦点:大混乱に陥る米国の漁業、トランプ政権が割当量

ワールド

トランプ氏、相互関税巡り交渉用意 医薬品への関税も

ワールド

米加首脳が電話会談、トランプ氏「生産的」 カーニー

ワールド

鉱物協定巡る米の要求に変化、判断は時期尚早=ゼレン
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 4
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 5
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 6
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 7
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 8
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 9
    最悪失明...目の健康を脅かす「2型糖尿病」が若い世…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 9
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 10
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中