最新記事
米自動車

もう車が買えなくなったアメリカ人──年収10万ドルの壁

Americans can no longer afford their cars

2024年1月16日(火)16時35分
ジュリア・カルボナーロ

パンデミックでサプライチェーンが混乱し生産が遅れ、2021年には消費者の需要も急拡大したことで、自動車の在庫が逼迫し価格が大幅に高騰したと自動車情報サイト「エドマンズ」のアナリストであるジョセフ・ユンは言う。

「当時は、車を購入したい人々がディーラーに行列していたが、それでも車を手に入れることができなかった。一方メーカーは、利幅の大きい、高級な車の製造を優先した。そのせいでまたさらに価格が高騰した」


より大型で高級な車が好まれる傾向も

だがアメリカにもはや手頃な価格の自動車が存在しないように見える理由は、パンデミック関連の混乱以外にもある。その一つが、各自動車メーカーが2万ドル以下で買えるより小型で安価な車の生産量を減らし、SUVやトラックなどより高額な車の生産に重点を置くようになっていることだ。

「各メーカーは、より小型で手頃な価格の車を外す主な理由として、売れ行きが芳しくなかったことを挙げている」とユンは言う。「過去10年ぐらいで消費者の嗜好も大幅に変化した。より大型のSUVなどが好まれるようになり、カメラやセンサー、レーダーや大型画面などを求める傾向が強まっている」

残念ながら、これらの装備は高くつく。何百万人ものアメリカ人の平均年収さえ大幅に上回ってしまうだろう。

ニューズウィーク日本版 トランプショック
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月22日号(4月15日発売)は「トランプショック」特集。関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中国GDP、第1四半期は前年比+5.4% 消費・生

ビジネス

報復関税、中国の医薬品価格押し上げか 大手各社が米

ビジネス

午前のドルは142円後半へ小幅安、日米交渉前に手控

ビジネス

中国新築住宅価格、3月は前月比横ばい 政策支援も需
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気ではない」
  • 2
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ印がある」説が話題...「インディゴチルドレン?」
  • 3
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 4
    NASAが監視する直径150メートル超えの「潜在的に危険…
  • 5
    【クイズ】世界で2番目に「話者の多い言語」は?
  • 6
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 7
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 8
    「世界で最も嫌われている国」ランキングを発表...日…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    そんなにむしって大丈夫? 昼寝中の猫から毛を「引…
  • 1
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 2
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 3
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止するための戦い...膨れ上がった「腐敗」の実態
  • 4
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 5
    「ただ愛する男性と一緒にいたいだけ!」77歳になっ…
  • 6
    投資の神様ウォーレン・バフェットが世界株安に勝っ…
  • 7
    コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由...政治…
  • 8
    まもなく日本を襲う「身寄りのない高齢者」の爆発的…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中