最新記事
再生可能エネルギー

世界の再エネ、2030年までに2.5倍に増加、COP28の「3倍増」目標の達成に必要な追加対策は?

2024年1月11日(木)20時18分
ロイター
太陽光発電 中国

1月11日、国際エネルギー機関(IEA)は、世界の再生可能エネルギーの容量が2030年までに2.5倍に増加する見通しだが、昨年12月の第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)で合意した3倍増の目標達成には各国政府のさらなる対応が必要だと指摘した。写真は2013年9月、甘粛省北西部の敦煌にある太陽光発電所で撮影(2024年 ロイター/Carlos Barria)

国際エネルギー機関(IEA)は、世界の再生可能エネルギーの容量が2030年までに2.5倍に増加する見通しだが、昨年12月の第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)で合意した3倍増の目標達成には各国政府のさらなる対応が必要だと指摘した。

再生可能エネルギーの展望に関する年次報告書で述べた。昨年新たに追加された発電容量は前年比50%増の510ギガワット(GW)。設備容量は3700GWに達した。

現行の政策と市場の現状では、世界の再生可能エネルギー容量は28年までに7300GWに増加する見通し。COP28で合意した30年の目標を達成するには少なくとも1万1000GWにする必要がある。

COP28では、途上国のクリーンエネルギー移行を支援する資金調達面のメカニズムについては合意が成立しなかった。

報告書は、目標達成に向けた最大の課題は、大半の新興国・途上国で再生可能エネルギー向けの資金を調達し設備を設置する動きを強化することだと指摘。

IEAのビロル事務局長はロイターに「アフリカのほか、アジア・中南米の低所得国に対する支援がなければ、当該国のクリーンエネルギー目標の達成は不可能だ」と述べた。

IEAは30年の目標達成では、中国が重要な役割を担うとも指摘。同年までに世界で必要とされる新たな設備容量の半分以上は中国で導入される見通しという。

28年までに追加で導入される太陽光発電と陸上風力発電の設備容量は、米国、欧州連合(EU)、インド、ブラジルでは過去5年間の2倍以上になると予想されている。

グリーン水素については、多くのプロジェクトが発表されているものの、30年までに稼動が見込まれるプロジェクトは全体の7%に過ぎないとしている。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20250408issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月8日号(4月1日発売)は「引きこもるアメリカ」特集。トランプ外交で見捨てられた欧州。プーチンの全面攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


SDGs
使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが「竹建築」の可能性に挑む理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

訂正-米テキサス州のはしか感染20%増、さらに拡大

ワールド

米民主上院議員、トランプ氏に中国との通商関係など見

ワールド

対ウクライナ支援倍増へ、ロシア追加制裁も 欧州同盟

ワールド

ルペン氏に有罪判決、次期大統領選への出馬困難に 仏
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中