お金のプロはこう考えている...「老後の備え」と新NISA、本当の「最適解」とは?
How to Prepare for Old Age
■貯蓄と投資の望ましいバランス
資産形成の一環として投資を始める場合、気になるのは資産のどれくらいを貯金や保険、不動産、そして投資に割り振るのがいいのか。このバランスについて藤野氏は、「金融はおしなべてオーダーメイドであり、正しいモデルが存在するという『神話』から脱するべきだ」と言う。
「例えばファイナンシャル・プランナーなどに、何歳で何のライフイベントがあり......と『人生モデル』を提示されることがあるが、実際にそんな人生を歩んでいる人は少ない。誰かのプランは自分に合わない。大事なのは選択肢を持つことで、自分にとって一番幸せな形を考えるべき。だから投資は、自分が手に汗をかかない程度のバランスが大事だ」
実際、老後の不安について「いくらあれば安心か」は、どこでどういう老後を送るかによって全く違う。「老後資金2000万円」問題が注目されたが、都会で住宅ローンが残っている場合や、それなりに贅沢をしたいという人なら仕事を続けるか投資でリターンを得る必要がある。だが住居費も水道代もほぼかからない地方で、自給自足に近い生活をするなら必要となる資産額も大きく変わる。
■老後の備えはお金だけじゃない
さらに言えば、幸せな「老後」を送れるかどうかを決める要因はお金の問題だけではないことを認識すべきだと藤野氏は指摘する。年を取っても楽しそうに暮らしていて裕福な人は、「老後という概念をなくしている人が多い」と言う。
例えば常に現役として楽しみながら働き続けて収入を得ていれば、一般的に考えられる「老後」とは違う暮らし方、お金の使い方も可能となる。その際に重要となるのは、働く環境が得られる人間関係であったり、家族との関係、さらには健康といった要因だ。つまりお金以外の要素にも目を向けることが、「老後の不安」を減らすことにつながる。
「子供や孫に資産を遺すのはいいと思う」と、藤野氏は言う。「でも、財産のピークが『死んだとき』ではつまらなくないだろうか」
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