日銀、YCCの運用柔軟化を発表 10年債の指し値オペ1.0%に引き上げ
日銀は27―28日に開いた金融政策決定会合で、イールドカーブ・コントロール(YCC)の運用を柔軟化することを決めた。都内の日銀本店で2016年3月撮影(2023年 ロイター)
日銀は27―28日に開いた金融政策決定会合で、イールドカーブ・コントロール(YCC)の運用を柔軟化することを決めた。経済・物価情勢の不確実性がきわめて高い中、上下双方向のリスクに機動的に対応して金融緩和の持続性を高める狙い。
長期金利の変動幅は上下0.5%を「目途」とし、10年物国債を対象に実施している連続指し値オペの利回りを0.5%から1.0%に引き上げる。金融市場調節方針と整合的なイールドカーブ形成を促すため、大規模な国債買い入れを続けるとともに、各年限で機動的に買い入れ額の増額や指し値オペ、共通担保オペを実施する。
長短金利操作の運用柔軟化は賛成8反対1で決定。中村豊明審議委員は、運用の柔軟化には賛成だが、法人企業統計などで企業の「稼ぐ力」が高まったことを確認した上で行う方が望ましいとして反対した。
日銀は、まだ賃金上昇を伴う2%の物価目標の持続的・安定的な実現を見通せる状況に至っておらず、粘り強く金融緩和を継続する必要があると改めて表明した。その一方で、予想物価上昇率の上振れ傾向が持続した場合には、長期金利の上限を厳格に抑えることで債券市場の機能やその他の金融市場のボラティリティーに影響が生じる恐れがあると指摘した。