最新記事
投資

インフレをチャンスにできる人と、貧乏になる人...それぞれ共通するパターンがあった

2023年3月14日(火)17時47分
窪田 剛(オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」講師)
株式投資イメージ画像

Galeanu Mihai-iStock

<株式投資を始めた個人投資家の9割が負けているとも言われるが、失敗する人の売買には間違ったパターンがある>

インフレが加速しています。1月の消費者物価指数(総務省)は前年同月比で4.2%の上昇となり、41年ぶりの上昇率を記録しました。日本銀行の「生活意識に関するアンケート調査」でも、物価が「かなり上がった」「少し上がった」と回答した人が、あわせて94%にも上っています。

その一方で、オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」が行ったアンケート調査によれば、インフレに不安を感じている人のうち7割近くが、インフレへの対応について「何もしていない」と答えました。その理由は、おそらく、「どうしたらいいのかわからないから」ではないでしょうか。

「失われた30年」とも言われる長い長いデフレ時代から一気にインフレに突入したことで、多くの人がいまだデフレマインドから脱却できず、焦りを募らせているかもしれません。インフレは、たしかに生活が苦しくなる危機ですが、実は、資産を大きく伸ばすチャンスでもあります。

もはや「貯金は安全ではなくなった」

インフレとは、モノやサービスの値段(物価)が上がることを言います。値段が上がれば当然、同じ金額で買える数量が減ってしまうため、インフレとはつまり「お金の価値が下がる」ことでもあります。

かつての高度経済成長期は、物価の上昇以上に賃金も上がっていく「良いインフレ」でした。それに対して現在は、物価が上がっても賃金はなかなか上がらず、 そのため生活が苦しくなる「悪いインフレ」に陥っています。

そんな「悪いインフレ」が進行する中で最もやってはいけないこと、それは貯金です。なぜなら、いくら貯金してもその間にも物価はどんどん上がり、せっかく貯めたお金の価値が下がってしまうからです。むしろ、貯金をすればするほどお金が減ってしまうことにもなりかねません。

例えば、今後物価が3%ずつ上昇したとすると、現在の100万円は10年後には74万円、20年後には55万円の価値しかなくなります。20年でほぼ半減する計算です。定期預金に十分な利息がつけばいいのですが、今、メインバンクの金利は0.002%。1年で20円にしかなりません。

つい数年前までのデフレ下では、年々モノの値段が下がっていたため、貯金が有効でした。しかしインフレ時代に突入した今、もはや「貯金は安全ではなくなった」と考える必要があるのです。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

焦点:大混乱に陥る米国の漁業、トランプ政権が割当量

ワールド

トランプ氏、相互関税巡り交渉用意 医薬品への関税も

ワールド

米加首脳が電話会談、トランプ氏「生産的」 カーニー

ワールド

鉱物協定巡る米の要求に変化、判断は時期尚早=ゼレン
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 4
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 5
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 6
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 7
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 8
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 9
    最悪失明...目の健康を脅かす「2型糖尿病」が若い世…
  • 10
    最古の記録が大幅更新? アルファベットの起源に驚…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 9
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 10
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中