最新記事

カタールW杯

W杯、ホテルは想定外のガラガラ状態 サッカーファンの足もと見たカタールにしっぺ返し

2022年11月28日(月)19時13分

過去3回のW杯で各国のサポーターや国際サッカー連盟(FIFA)のスポンサーなどに売り出す宿泊場所を大口予約してきたクハヤを率いるボルクハード・バウアー氏は「W杯でこのような事態(料金上乗せ)は一度も聞いた事がない」と憤る。

バウアー氏によると、結局クハヤが言われた金額を送金した後、疲れ切った団体客はようやく部屋に入ることができたという。

ほかにも宿泊客と事前に合意していた追加ベッド料金を2倍以上引き上げたホテルもあった。

市民にも影響

カタール国内の賃貸住宅利用者も、事前の値上げにほんろうされた。不動産サービスのクッシュマン・アンド・ウェイクフィールドが9月30日に公表したリポートによると、第3・四半期に長期契約の家賃は30%強上昇し、一部の賃貸住宅オーナーは利用したいなら現在の料金で2年の契約を結ぶよう要求したケースも見られた。

ドーハの集合住宅を借りている人たちに取材したところ、オーナー側は大会の何カ月も前から年間契約の更新を拒否し、家賃を引き上げたようだ。

人工の島「ザ・パール」の高級住宅街で賃貸暮らしをしてきたチュニジア人の30歳の女性は10月に契約が切れ、オーナーからW杯が終わるまで更新はしないと伝えられた。

しかもオーナーは、部屋をすぐにW杯の宿泊者用に使うため、彼女に更新前の一時退去に際して家具を残すよう条件を付けたという。

この女性は「基本的な立場上は応じるしかなかった」と述べた上で、今後割高な長期契約を迫られるのではないかと懸念している。

(Andrew Mills記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国3月製造業PMIは50.5に上昇

ビジネス

中国非製造業PMI、3月は50.8に上昇

ワールド

TikTok米事業売却、期限の4月5日までに合意へ

ワールド

原油先物は下落、トランプ大統領の対ロ追加制裁警告で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 9
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 10
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 7
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 8
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中