今すぐ辞めてほしい「モンスター社員」を解雇する方法。所要期間は? 注意点は?
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<度々社内でトラブルを起こす「モンスター社員」。対応するにあたり、知っておくべき関連法律や実際に解雇する場合の流れを説明する>
企業活動を営む中でしばしば問題となるのは、度々社内でトラブルを起こす"モンスター社員"への対応です。"問題社員"とも呼ばれます。モンスター社員への対応を怠ってしまうと、職場の秩序が乱れ、真面目に働いている他の従業員の業務効率やモチベーションの低下を招き、結果的には他の従業員の精神不調や退職を招くおそれもあります。
今回は、弁護士である筆者が、モンスター社員に対応するにあたり、知っておくべき関連法律や実際に解雇する場合の流れを解説します。
モンスター社員(問題社員)とは
"モンスター社員(問題社員)"という言葉は、当然ながら法的な概念ではないため、詳細な定義があるわけではありませんが、一般的には、社内において頻繁にトラブルを起こす従業員のことをいいます。会社からの注意指導を受け入れず、反発してくるような社員をイメージいただければよいでしょう。
解雇に関するルール
モンスター社員への対応として、経営者がまず考えるのは「この問題の多い社員をできるだけ円満に解雇したい」ということでしょう。確かに、冒頭述べたようなモンスター社員による他の従業員への悪影響からすれば、最終的には解雇を選択することが適当な場合があるでしょう。
■30日前の解雇予告
従業員を解雇するには、30日前の解雇予告が必要です(労働基準法20条)。もっとも、"解雇予告手当"を支払うことで予告日数を短縮ないし不要とすることができます。また、解雇に労働者の責めに帰すべき事由がある場合には、予め労働基準監督署の除外認定を受けることで、解雇予告を不要とすることも可能です。
■就業規則上の解雇事由該当性を確認
解雇を行う前提として、就業規則等で定められた解雇事由に該当する行為が存在することが必要です。企業の就業規則では、職場秩序違反を解雇事由としていることが多いので、モンスター社員の行動が何らの解雇事由にも当たらないということはそう多くはないでしょう。
■解雇には「客観的合理性・社会的相当性」が必要
就業規則上の解雇事由にあたる行為があったとしても、解雇が解雇権の濫用に当たる場合には、当該解雇は無効となります。どのような場合に、解雇が解雇権の濫用となるかは、労働契約法16条に定めがあり、次のように定められています。
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
したがって、解雇を有効に行うには、客観的合理的理由と社会的相当性が必要で、これらを充足しない解雇は、権利の濫用として無効となります。