仮想通貨イーサがマイニング時の電力を99%カットへ ビットコインに重圧
時価総額世界第2位の暗号資産(仮想通貨)「イーサ」を支えるブロックチェーン・プラットフォームのイーサリアムは、エネルギー消費を大きく減らし、環境に優しい「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」と呼ばれる新しいシステムに移行しようとしている。写真はイーサリウムのイメージ。2021年11月撮影(2022年 ロイター/Dado Ruvic)
時価総額世界第2位の暗号資産(仮想通貨)「イーサ」を支えるブロックチェーン・プラットフォームのイーサリアムは、エネルギー消費を大きく減らし、環境に優しい「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」と呼ばれる新しいシステムに移行しようとしている。これにより時価総額第1位のビットコインに同様のシステム導入を迫る圧力が増大する可能性がある。
「Merge(マージ)」と称されるイーサリアムのシステム移行は、米国で仮想通貨のマイニング(採掘)に伴う電力の大量消費が議論の的になり、化石燃料を使うマイニングが温室効果ガス排出量削減を巡る世界的な取り組みを阻害していると環境団体が批判する中で浮上してきたアイデアだ。
英インペリアル・カレッジ・ビジネススクールの気候金融・投資センターで研究員を務めるカーミン・ルッソ氏は「自動車は(環境負荷を減らす取り組みとして)ディーゼル燃料から電気に移行しつつある。それなら仮想通貨もなぜ同じことができないのか」と問いかける。ルッソ氏は最近、仮想通貨と気候変動に関するリポートも執筆した。
イーサリアムは、マイニングに膨大な電力を必要とする「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」からPoSにシステムを切り替える。イーサリアムを運営する非営利団体イーサリアム財団の試算に基づくと、これで消費電力を99%以上カットできるという。
同財団が見積もる現在のイーサリアムの消費電力は6ギガワット近くと、米国の100万世帯余りが使う電力にほぼ匹敵する。PoWの下では、報酬である新たな仮想通貨を得るにはマイニングを通じたデータ証明競争を勝ち抜くために大量の電力を消費する巨大コンピューターが必要になるからだ。一方PoSは、こうした大がかりなハードウエアなしに手持ちの一定量の仮想通貨を掛け金(ステーク)とすることで、報酬を獲得できる仕組みになっている。
ルッソ氏によると、イーサとビットコインを除くほとんどの仮想通貨は現時点でPoW以外のシステムを採用している。
イーサリアムの生みの親であるビタリック・ブテリン氏はツイッターで、2020年から準備され続けてきたマージは今月13─15日に実行されると明かした。