仮想通貨イーサがマイニング時の電力を99%カットへ ビットコインに重圧
ビットコインは最大の異端者
大半のブロックチェーン取引に膨大なエネルギーが使われることを巡っては、投資家や環境運動家らが批判を強め、政策担当者も無視できなくなりつつある。
実際ニューヨーク州は、化石燃料を集中的に利用する一部の仮想通貨のマイニングについて部分的に禁止した。複数の米上院議員は、仮想通貨関連企業に事業活動が気候変動に及ぼす影響を開示するよう要求している。
自然保護団体シエラクラブの元エグゼクティブディレクター、マイク・ブルーン氏は「過去数年間で、ビットコインとイーサリアムのエネルギー消費問題が気候変動の観点で仮想通貨業界の大部分に暗雲を投げかけてきた」と指摘。その上で「イーサリアムがたった1日でエネルギー消費を最大99%も減らせるなら、それはとても重要な意味があるし、ビットコインを業界の最大の異端者として浮かび上がらせる」と語り、イーサリアムの動きは他の仮想通貨も追随できることを証明していると付け加えた。
ブルーン氏は、グリーンピースなどが結成した、ビットコインに同様の省エネ型システムへの移行を求める環境団体連合に参加している。
ケンブリッジ大学が試算するビットコイン・ネットワークの年間電力使用量は約100テラワット時と、マレーシアないしスウェーデンの国全体の使用量にほぼ等しい。
ただビットコインを擁護する人々は、エネルギー消費という面で仮想通貨業界だけが不当にやり玉に挙げられていると主張する。ホワイトハウスが最近公表した報告書によると、米国全体の電力消費に占める仮想通貨業界の比率は0.09─1.7%だった。
また幾つかの業界団体は、マイニングで使用される電力の半分以上は再生可能エネルギーに由来していることが分かるデータを明らかにするとともに、仮想通貨業界は再生可能エネルギーの電力網拡大や新しいグリーン電力開発計画向けの資金提供に貢献する可能性を秘めていると訴えた。
ビットコイン推進派のシンクタンク、ビットコイン・ポリシー・インスティテュートの研究員マルゴ・パエス氏は、イーサリアムのシステム移行でビットコインにも右にならえと促す声が強まる公算が大きいと認める。
それでもパエス氏は、PoWはシステムを安全かつ民主的に保つ方法だと強調。「システム移行を求める人々はPoWとビットコインが社会にもたらすメリットを理解していない」と述べ、今の仕組みは1人の金持ちが既存の仮想通貨の大部分を買い占めるだけでネットワークを乗っ取るのを難しくしていると説明した。
同氏は「PoWからPoSへの移行を選ぶことは、不当な権力の行使につながらないようなネットワーク環境を確保できるという面ではそれほど重要ではない」と話した。
(Avi Asher -Schapiro記者)