最新記事

エネルギー

ドイツ、原発2基停止延期めぐり混乱 政府と運営企業が対立

2022年9月8日(木)11時06分
ドイツ電力大手エーオンのロゴが入った紙袋

ドイツ政府が原発2基の停止を先送りする方針を巡り、混乱が起きている。写真はイザール2原発を運営する電力大手エーオンのロゴ。2017年5月、同国西部エッセンで行われた株主総会で撮影(2022年 ロイター/Thilo Schmuelgen)

ドイツ政府が原発2基の停止を先送りする方針を巡り、混乱が起きている。

ドイツ国内で年末までに運転を停止する予定だった原発3基のうち、政府は南部の「イザール2」と「ネッカーベストハイム2」について非常用の予備電源として来年4月半ばまで待機状態にしておくと発表した。天然ガスの供給ひっ迫が見込まれる冬の間、十分な電力を確保するためだ。

しかしイザール2を運営するエーオンは、運転停止するはずだった年末以降も非常時に稼働できるとは技術的な理由から考えられないと主張。「当社は5日夜、原発が予備電源用の発電所としてふさわしいとは思わないと伝えた」と述べ、この問題で政府とやり取りをしていると付け加えた。

一方ネッカーベストハイム2を運営するEnBW(エネルギー・バーデン・ビュルテンブルク)は、所管省庁とともに問題点などを洗い出しているところで、技術面と運営面の実現可能性を検討した上で提案された計画を吟味すると説明した。

これに対してハーベック経済・気候保護相は、エーオンから予備電源化計画への疑念を表明した書簡を受け取ったことに「やや当惑している」と語った。

その上で、エーオン側の技術者はこの計画が原発の稼働と停止を繰り返すものではないと適切に理解していないように思えると指摘した。

別の政府高官はエーオンへの書簡で、イザール2を待機状態にすることで技術的な問題が生じるとは予想できないと反論している。ロイターが書簡の内容を確認した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ロシア政府系ファンド責任者、今週訪米へ 米特使と会

ビジネス

欧州株ETFへの資金流入、過去最高 不透明感強まる

ワールド

カナダ製造業PMI、3月は1年3カ月ぶり低水準 貿

ワールド

米、LNG輸出巡る規則撤廃 前政権の「認可後7年以
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    【クイズ】2025年に最も多くのお金を失った「億万長…
  • 10
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中