最新記事

円安

1ドル144円台突入 円急落が呼び込む円売り圧力スパイラル

2022年9月7日(水)16時29分

市場筋によると、このノックアウト条項が発動される水準が、24年ぶり高値圏となる「ドル140円超に多数設定されていた」(外銀)ことが、足元で急速に円安が進む一因となっている。

引き金は巨額の社債発行

今回、ドル/円が動きだしたのは、6日の昼過ぎ。米国がレーバーデーの休場から明け、債券市場の時間外取引が始まった後だ。10年債利回りが取引再開後じりじりと上昇を始めると、ドルもそれに合わせて買いが強まり、午後2時過ぎには直近の高値を突破。すぐに141円台へ駆け上がった。

ドル高/円安の原動力は米金利上昇だが、その要因となったのは、米国で今週相次ぐ高格付け企業の社債発行だ。IFRによると、6日には50億ドルを調達したウォルマートをはじめ、19社が10億ドル規模の社債を何本も発行した。

米国では週内に合計500億ドル規模の社債が発行される見通し。年限も10年など長期債が多いため「長期や超長期の米国債金利に上昇圧力が加わった」(証券)という。10年国債利回りは6日に3.36%と6月につけた11年ぶり水準へ迫り、30年債利回りも8年ぶり高水準に達した。

ドルは歴史的な高値に達したものの、その原動力である米金利の上昇がどこまで進行するか見通しが立たず、ドルの具体的な上値めどは参加者の間でも明確にはない。

あおぞら銀行チーフ・マーケット・ストラテジストの諸我晃氏は「目先は上値を試す局面。1998年8月の147.64円がターゲットになってくるが、その前に145円の大台を試せるかが注目だ」と話している。

(基太村真司、坂口茉莉子 編集:伊賀大記)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:大混乱に陥る米国の漁業、トランプ政権が割当量

ワールド

トランプ氏、相互関税巡り交渉用意 医薬品への関税も

ワールド

米加首脳が電話会談、トランプ氏「生産的」 カーニー

ワールド

鉱物協定巡る米の要求に変化、判断は時期尚早=ゼレン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 4
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 5
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 6
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 7
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 8
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 9
    最悪失明...目の健康を脅かす「2型糖尿病」が若い世…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 7
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 10
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中