1ドル144円台突入 円急落が呼び込む円売り圧力スパイラル
市場筋によると、このノックアウト条項が発動される水準が、24年ぶり高値圏となる「ドル140円超に多数設定されていた」(外銀)ことが、足元で急速に円安が進む一因となっている。
引き金は巨額の社債発行
今回、ドル/円が動きだしたのは、6日の昼過ぎ。米国がレーバーデーの休場から明け、債券市場の時間外取引が始まった後だ。10年債利回りが取引再開後じりじりと上昇を始めると、ドルもそれに合わせて買いが強まり、午後2時過ぎには直近の高値を突破。すぐに141円台へ駆け上がった。
ドル高/円安の原動力は米金利上昇だが、その要因となったのは、米国で今週相次ぐ高格付け企業の社債発行だ。IFRによると、6日には50億ドルを調達したウォルマートをはじめ、19社が10億ドル規模の社債を何本も発行した。
米国では週内に合計500億ドル規模の社債が発行される見通し。年限も10年など長期債が多いため「長期や超長期の米国債金利に上昇圧力が加わった」(証券)という。10年国債利回りは6日に3.36%と6月につけた11年ぶり水準へ迫り、30年債利回りも8年ぶり高水準に達した。
ドルは歴史的な高値に達したものの、その原動力である米金利の上昇がどこまで進行するか見通しが立たず、ドルの具体的な上値めどは参加者の間でも明確にはない。
あおぞら銀行チーフ・マーケット・ストラテジストの諸我晃氏は「目先は上値を試す局面。1998年8月の147.64円がターゲットになってくるが、その前に145円の大台を試せるかが注目だ」と話している。
(基太村真司、坂口茉莉子 編集:伊賀大記)