デフォルト認定のロシア国債、債権者はウクライナ戦線同様の膠着状態に
オックスフォード・エコノミクスの首席エコノミスト、タチアナ・オーロバ氏は、投資家には選択肢を探るための時間的余裕がたっぷりあると言う。
「債券の書類では、返済請求件が失効するのは返済期日から3年後と定められているため、一部の債券保有者はロシア政府への請求申し立てを遅らせる可能性がある」と述べた。
法律事務所クイン・エマニュエルのソブリン訴訟責任者、デニス・フラニツキー氏は、一部の債券保有者は「一番乗りで裁判所に」行きたがっている様子だが、大半の債券保有者は熟慮するだろう、との見通しを示した。
アルゼンチンを含む多くのソブリン債再編で債権者に助言してきたフラニツキー氏は、「すべてはスローモーションで進むだろう。敵意が収束するまで何ひとつ決着しないだろう」と予想した。
仲裁
ロシアとの二国間投資協定が存在する法的管轄区域の投資家は、ロシアから金銭的損害その他の補償を得るために仲裁制度を試すかもしれない。
ロシアは欧州連合(EU)諸国の大半、英国、カナダを含む数十カ国との間でこうした二国間協定を結んでいる。
様子見
外国の債権者が採り得る選択肢のひとつは、少なくとも当面事態を静観することだ。
2月24日のロシアによるウクライナ侵攻以来、制裁や顧客からのプレッシャーによって、既に多くのファンドが資金をロシアから他地域に移し替えている。未だにロシア債券を抱えているファンドは評価減の計上を余儀なくされた。いずれにせよ、損害は既に発生済みと言える。
多くの資産運用会社は、単純に当面は債券を保有し続けるかもしれない。
ロシア債を保有するGMOのパートナー、カール・ロス氏は「ロシア債はベンチマーク(運用の指標)におけるウエートがゼロで、価格は低落している。ロシア債の流通市場に対する制裁により、価格がさらに下がるのは明白だ」と指摘。「プーチン氏が権力の座にいる限り、相場の回復は期待できないだろう。ただ、いつかの時点では債権が効力を持つはずだ」と述べた。